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2022年12月19日月曜日

渋谷区立神宮通公園(北側)における、渋谷区行政による野宿者・支援者の拘束、荷物の強制撤去【2022年12月14日】について ■ プレスリリース ねる会議(12月19日)

メール: nerukaigi@gmail.com

 本年10月25日(火)、渋谷一丁目地区共同開発事業に向けて、渋谷区が区立美竹公園の強制封鎖による野宿者(ホームレス状態の人)の追い出しを行ったこと、明日12月20日(火)、美竹公園において行政代執行による荷物撤去が強行されることはお聞き及びかと存じます。

 これと関連して、12月14日(水)、渋谷区は、美竹公園から退去させられた野宿者たちが避難した近隣の区立神宮通公園(北側)に大挙して押しかけ、悪質かつ違法な追い出し(野宿当事者・支援者の拘束、荷物の強制撤去)を行いました。

 この神宮通公園(北側)における荷物の撤去は、行政代執行などの手続きにもとづかない違法な形で、また一切の予告なく行われました。撤去に際しては、当事者、支援者が10メートル四方程度の人垣に囲まれ、拘束・監禁されました。このような拘束・監禁も、当然ながら違法なものです。

 撤去の結果として、公園内にいた人びとは、身につけていたもの以外なにもない状態で取り残されました。靴、上着、寝具、処方薬、財布、仕事道具などが奪われ、直接的な生命の危険にさらされました。現在、神宮通公園(北側)は不当な理由で利用禁止とされています。

 私たちは、今後年内、とりわけ美竹公園行政代執行の期日である明日12月20日に、神宮通公園(北側)で14日と同様の野宿者排除が行われることを危惧しています。

 本プレスリリースでは、 1) 12月14日に起きたこと、 2) 問題の所在、 3) 今後起こりうる事、についてお伝えいたします。

1)12月14日に起きたこと

☆ 1.1 前提

 12月14日は、美竹公園行政代執行の「戒告」において、荷物の撤去期日として指定されていた日でした。行政代執行に先立っては「弁明機会の付与通知」、「除却命令」、「戒告書」、「執行令書」の4種類の文書が発行され、「戒告書」はこの第3の段階に相当します。撤去期日に合わせて強制封鎖等が行われることを想定して、美竹公園に起居していた人は、この日までに近隣の区立神宮通公園(北側)に移動していました。

☆ 1.2 午前8時 美竹公園の封鎖

 午前8時に渋谷区は、数十人~百人規模の渋谷区土木部職員、警備員を動員して、美竹公園に仮囲いの設置を行いました。この時点で美竹公園内にいた2名が退去させられましたが、園内にあった野宿当事者の荷物は、一部を残して、神宮通公園(北側)に移動済みでした。

☆ 1.3 午前10時30分  神宮通公園で荷物移動の勧告

  神宮通公園(北側)に、渋谷区土木部の井戸田智司公園課長ほか渋谷区職員数名がやってきて、荷物を移動するように連呼、撤去の警告書を小屋などに貼付しました。

☆ 1.4 午後4時 神宮通公園での当事者・支援者の拘束、荷物の強制撤去

 神宮通公園(北側)に、渋谷区の井戸田公園課長ほか渋谷区職員数名がやってきて、荷物を移動するように連呼、また神宮通公園(北側)が利用禁止されている旨を連呼。 

 これに野宿当事者、支援者が対応している間に、別の入口から数十人の渋谷区職員、警備員が公園内に入り、人垣を作って野宿当事者、支援者が荷物のある場所に戻れないようにしました。その上で渋谷区職員は公園内の荷物の撤去、運び出しを始めました。

 運び出した荷物はトラックに積み込まれ、移送されました。荷物の撤去、運び出しは午後6時ごろまで続き、公園内の荷物は、身につけていたもの以外すべてが撤去、移送されました。その間に警備員の人垣は、野宿当事者、支援者を取り囲む形で狭められ、最終的には10メートル四方程度の一角に拘束される状態になりました。この間、彼らは荷物に近づくことも、公園から出ることもできませんでした。荷物の持ち主が目の前におり、所有者であることをそれぞれ主張していたにもかかわらず、渋谷区は一切顧みることなく、すべての荷物を「所有者不明」として持ち去りました。

 撤去、運び出された荷物は下記のようなものがあります。

• テント • 寝袋 • 共用の毛布 • 財布 • 処方薬 • 靴• 上着 • メガネ • 携帯電話

• 東京都特別就労対策事業の輪番仕事の登録証(通称「ダンボール手帳」)• 自宅の鍵(支援者の所持品) • その他多数

 拘束された人たちは、身につけていたもの以外何もない状態で、したがって以下のような状態で取り残されました。

• 寝場所がない • 靴も上着もメガネもない • 持病の薬が飲めない• 翌日の仕事に行けない • 自宅に帰れない

☆ 1.5 時刻不明: 神宮通公園(北側)の利用禁止

 渋谷区は、12月14日(火)に、都市公園条例14条にもとづいて神宮通公園(北側)を長谷部健区長名で利用禁止しました。利用禁止が行われたのは、井戸田課長が最初に公園に現れた午前10時から、二度目に現れた午後4時までの、いずれかの時刻と考えられます。

 渋谷区公式サイトではその理由について、

「火災等防災上の観点から、大量の荷物を速やかに公園内から移動させるよう当該団体に警告しましたが、対応いただけないこと」としています。

• 渋谷区公式サイト: 区立神宮通公園(北側)の終日利用禁止について

https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kankyo/machi/shibuya_eki/koenriyo_kinshi.html

 2)問題の所在

 12月14日(火)の神宮通公園の追い出し・荷物の強制撤去は、10月の美竹公園の追い出しを含めて、これまでの追い出しに例を見ない悪質、かつ違法なものです。

主な問題点としては次の4点が挙げられます。

☆ 2.1 撤去は被害者の命を危険に陥れた

 寝床や寝具を奪うこと、衣服、靴、処方薬を奪うことは、言うまでもなく命を直接的な危険にさらすものです。

☆ 2.2 撤去は法的根拠にもとづかない違法なものだった

 12月14日の神宮通公園における荷物の強制撤去は、法的根拠にもとづかない違法なものです。公園など公共地内の荷物などを移動、撤去するための手続きとしては、行政代執行、あるいは民事裁判上の強制執行が存在しますが、今回の撤去はこれらの手続きにもとづいていません。これに先立つ美竹公園の追い出しでは、荷物の撤去に関して行政代執行の手続きが執られており、11月17日の弁明機会の付与から起算して、1ヶ月以上の時間を費やしています。過去には2010年に宮下公園で、2012年に美竹公園で、渋谷区は同様に行政代執行にもとづく荷物の撤去を行いました。渋谷区自身が、撤去にはこれら手続きを踏むことが必要だと認識していることは明らかです。私たちは、行政代執行や強制執行による強制的な荷物の撤去を肯定するものではありませんが、これらの手続きにすらもとづかない撤去は、言語道断です。

☆ 2.3 違法な身柄の拘束が行われた

 公園内にいた野宿当事者、支援者は、数十人の警備員の人垣に取り囲まれ、10メートル四方程度の一角から物理的に移動できない状態とされました。このような拘束、監禁は、言うまでもなく危険、不当なものであり、違法でもあります。

☆ 2.4 公園利用禁止は野宿者の生存を否定するものだ

 渋谷区は、野宿者が神宮通公園(北側)に移動した直後の12月14日に同地を利用禁止としました。渋谷区は公式サイトにおいて、野宿者が同地に移動したことそのものを利用禁止の理由としています。

• 渋谷区公式サイト: 区立神宮通公園(北側)の終日利用禁止について(再掲)

https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kankyo/machi/shibuya_eki/koenriyo_kinshi.html

  住所を持たない野宿者がいられる場所は、公共の場所以外にありません。

 野宿者が公共の場所にいることを理由にその地を利用禁止とすることは、野宿者の生存自体を認めないことであり、不当なものです。

3)今後起こりうる事

 14日の神宮通公園(北側)での追い出しは、美竹公園仮囲い設置のために確保された職員、警備員を転用する形で行われました。

 明日12月20日(火)の美竹公園行政代執行期日の際にも、同様に職員、警備員の大量動員が見込まれることから、神宮通公園(北側)で14日と同様、あるいはさらに悪質な撤去、追い出しが行われることを危惧しています。

 この間の渋谷区の動向は、渋谷区内で行われる年末年始の越年活動(2022-23 渋谷越年越冬闘争)を行わせないことを意図しているように見受けられます。同活動は、年末年始の時期、寝場所がなくなる人を中心として、連日の泊まり込みと炊き出しを行うもので、昨冬までは美竹公園で実施されていました。このことから、20日にかぎらず、年内に何らかの形の追い出しが行われることを危惧しています。ご注視いただきたくよろしくお願いします。

4) 資料

・ねる会議ブログ記事: 12月14日 渋谷区立神宮通公園から、さらなる暴力的追い出し

https://minnanokouenn.blogspot.com/2022/12/blog-post_18.html

・ねる会議 Twitterまとめ「12月14日渋谷区が野宿者の荷物を強制撤去!これまでの経緯」https://togetter.com/li/2012720

・2022-2023 渋谷越年越冬闘争よびかけ文 https://x.gd/x1F6o

・ 渋谷一丁目地区共同開発事業(東京都都市整備局・渋谷区)

https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kankyo/machi/shibuya_eki/tosisaisei_suteppu_puro_zigyo.html 事業者・LinkPark(ヒューリック株式会社・清水建設株式会社)

5)本件にかんする連絡先・取材先

・ねる会議  電話番号: 070-1181-3819 メール: nerukaigi@gmail.com

・ 渋谷区 土木部公園課 電話番号:03-3463-2876    井川(いがわ)土木部長、井戸田(いとだ)公園課長

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