2010年11月5日金曜日

渋谷区による文書:「区立宮下公園の整備について」への反論

10月4日に、渋谷区が、「区立宮下公園の整備について」、という文章を区のHPとマスコミに向けて発表しました。けれども、この文章には多くの事実歪曲と印象操作があります。わたしたち、守る会は、この文章の内容を逐一検証する文章を作成しました。以下の文章をぜひお読みください。



2010年10月4日に渋谷区が発表した「区立宮下公園の整備について」への反論

【2010年11月1日】渋谷区の2010年10月4日発表「区立宮下公園の整備について」における、事実歪曲と印象操作について指摘します。

▼「渋谷区立宮下公園につきましては、長期にわたり、不法占拠を支援する反対団体が設置した違法占用物(アートと称する)および多くのゴミが園内に散乱し、高木の過剰な枝振りの剪定が実施できない危険な状態が続くなど、都会のオアシスたる都市公園本来の機能が損なわれ、公園の利用者および周辺住民の皆様に大変なご面倒をおかけいたしておりました。
 区といたしましては、公園環境整備の一環として、また、通行人や公園利用者を巻き込んでの混乱や反対団体などとの無用な衝突を避けるために、平成22年9月15日に公園の部分閉鎖を行いました。」の部分について。

渋谷区は、守る会などの団体が宮下公園内にいることで剪定や廃棄物の撤去などの作業ができず公園が荒れていた、その為に封鎖したと説明をしていますが、私たちが宮下公園内一角で抗議行動と監視活動を始めた3月15日以降も公園内の清掃業務は日々変わらず続いており、私たちがそれを妨害した事実はありません。清掃作業員の方々とも友好的な関係を保ち、会としても、ゴミ集積所外に不法投棄されたゴミの移動や、定期的な清掃活動に取り組んできました(※資料1)。私たちは剪定作業に何ら反対する意図はなく、封鎖をしなければ混乱や反対団体との衝突があり、剪定作業・ゴミ撤去作業が実施できない、との渋谷区の主張は誤りです。

私たちが宮下公園内にテントを張っていたのは、株式会社ナイキジャパン(以下、ナイキ社)による工事強行を阻止する為であり、剪定作業の妨害の為ではありません。もし、渋谷区が9月15日に行った宮下公園の封鎖が、樹木の剪定や廃棄物撤去の為であれば、作業終了後ただちに封鎖状態が解除されるべきでしょう。

「多くのゴミが園内に散乱し」とありますが、ここで渋谷区が云う「ゴミ」とは公園内生活者の残した生活物資です。ナイキ社による宮下公園の工事計画が表面化して以降、渋谷区公園課は園内に小屋・テントを張って生活していた人たちに執拗に立ち退きを迫り、多くの人々が止む無く公園から出ていくことを強要されました。小屋住人が手に持てるだけの荷物を持って立ち去った後、渋谷区公園課は即日、小屋を壊し、フェンスで囲み、出入りできないよう塞ぎました。その小屋に新たな住人が住み着かないようにするとともに、立ち退きにあった住人が再び戻ってこられないようにするためです。その囲いの中の、小屋の荷物・生活物資を、渋谷区は「ゴミ」と呼んでいるのです。渋谷区がフェンスで出入りを制限するのであれば、残された生活物資も渋谷区が保管や撤去などの責任を負うのが当然です。しかし、渋谷区は残された生活物資をフェンスで塞いだまま1年近く放置し続けておきながら「散乱したゴミ」と呼び、反対団体(守る会など)にゴミの投棄責任があるかのように声明を発しています。

また行政は、やるべきメンテナンス作業を1年以上意図的に放置して荒れすさんだ公園のイメージを作り上げてきました。暗い公園なので改修が必要だと渋谷区は云いますが、公園内にある街灯が点灯されないままにされていたのを私たちは知っています。憩えない公園だと説明していますが、ベンチやゴミ箱を徐々に減らしていったのも渋谷区です。

公園内には、「守る会」などのメンバーが作り、子供たちが絵を描いたベンチがあり、多くの人に利用されていました。工事を阻止するためでもあったテントは、人の通行を確保するように、常に注意を払って設置されていました。また、公園内に放置された生活者の物資を組み立てなおして作品を作ったりもしました。渋谷区が「違法占用物(アートと称する)」と一括した物品は、多様な内容と意味を含んだものだったのです。渋谷区の管理放棄によって荒廃する公園環境の中、このように、宮下公園に関心を寄せる多くの人の手によって、公園は少しずつ、良い変化を見せ始めてもいました。

しかし行政は、「守る会」の行いによって荒廃した公園を、ナイキ社が救うかのようなイメージ操作をしながら、不当な工事を強行しているのです。

▼「さらに、区は、この不法占拠者に対し、再三、違法占用物の除却を口頭、文書および電話などでのお願い、勧告および命令を行なってきましたが、不法占拠者は、勧告および命令に応じなかったため、公園管理者として法秩序の回復のために、平成22年9月24日に行政代執行を渋谷警察署のご協力により、大きな混乱やけが人も無く実施できたものであります。」の部分について。

渋谷区は9月15日の公園のフェンス封鎖を「部分閉鎖」と発表していますが、実際には通行人や公園利用者に何の予告もなく突然公園の全ての出入口を封鎖し、100人以上の作業員や警備員を動員して、公園内で生活していた公園内生活者数名の強制排除を行いました。その際1名は、十数名の警備員によって暴力的に園外に引きずり出されました。

わたしたちの「話し合い」の要求に対して、渋谷区およびナイキ社は、9月24日の行政代執行に至るまで、2009年冬以来一度も答えようとしないまま、工事を強行しようとしてきました。私たちが、渋谷区のいう「違法占有物」を取り除けば、そのまま工事に入るだけであるのは明白でしたし、それはこの間の渋谷区の姿勢によって証明されています。そのような中で、区は一方的に除去を云うばかりであり、肝心なナイキ化計画の是非については、話をそらし続けました。

行政手続法に定められた「弁明の機会の付与」もなく、行政代執行法に定められた「相当の履行期間」(※資料2)も置かなかった行政代執行は、法律上あまりにも瑕疵の多い一方的なものです。また、行政代執行は、名古屋や大阪などの公園内生活者の小屋を破壊するためにこれまで使われています。東京でのこのような適用は初めてであり、渋谷区の公園内生活者の支援をうたう姿勢とは矛盾しています。

24日の執行時に「守る会」は抗議の座り込みをしました。「渋谷警察署のご協力」のもとに渋谷区が、抗議をする人たちを強引に排除したのは、多くのメディアによって報じられたところです。

▼「この間、かねてより子どもや家族連れで遊べる公園やスポーツ施設としての充実など、地域住民やスポーツ団体からの声が区に寄せられるとともに、本整備計画や一連の区の対応に対しては地元町会や商店街などから、賛同の声が多数寄せられました。」の部分について。

渋谷区は同計画について、パブリック・コメントの募集を一度も行っていません。公園改造は、一部区議会議員(長谷部健氏、伊藤毅志氏、等)と桑原敏武区長、ナイキ社によって、2009年6月の区長演説まで、秘密裏に計画され推進されたものです。

09年6月18日都市環境委員会における渋谷区公園課の答弁によると、今回の計画は、2008年2月に設置の要望を受けて、同年2月に3社に相談、2社から提案があり、3月7日にナイキ社を選定した、とあります。要望から選定まで1ヶ月、そんな話がありえるでしょうか。事実、情報公開によって開示されたナイキ社の提案書(2008年2月)によると、ナイキ社は、07年9月12日に渋谷区役所にてプレゼンテーション、07年の11月30日には基本設計を終えています。

要望とされるものは08年2月「フリークライミング練習場設置を進める会」と「渋谷にスケートパークを作ってもらおう会」の提出したものです。前者は植野修議員が支持団体の青年部メンバーの名前を借りて作成し、後者は広瀬誠議員に促されてインラインスケートの愛好家が作成したという事実が明らかになっています。渋谷区は、ナイキ社との計画が先にあったことを、要望の声をつくりあげることで隠蔽しようとしてきたのです。(※資料3)

宮下公園のナイキ社による公園改造と、子どもや家族連れで遊べる公園やスポーツ施設の充実を求める声は、必ずしも同じものとは言えず、むしろ齟齬をきたしています。現在の宮下公園の原宿側には、砂場、ブランコ、ジャングルジムなどの遊具があって児童遊園の要素が強いのですが、ナイキによるイメージ図の中にはこれらの遊具は示されておらず、撤去されると思われます。また、インラインスケート場の要望がいつの間にか、ナイキ社が今後市場を広げようとしているスケートボード場に変えられたという経緯もあります。

また、渋谷区およびナイキ社は、地域住民、スポーツ団体、地元町会、商店会、の声を尊重するかのように振る舞ってはいるようですが、ここには、もう少し広い「利用者」という観点が欠けており、もしくは恣意的に無視されています。宮下公園は繁華街に接しており、対象は近隣の方だけではありません。渋谷の街同様、また、公園というものの持つ本来の性格から、区外からも多くの方が「利用者」として訪れていますし、それを寛容に受け入れるオープンな空間であるというのが、この公園のあるべき姿です。

この計画の内実を知る多くの利用者が、それぞれの立場からこの計画に反対し、その運動が海外からの支援や広がりさえ見せているほどになっていること(※資料4)に目をつぶり、一部の利害関係者によって計画を強行することによって出来上がるものが、多くの人にとって快適な空間になるとは、思えません。


▼「同公園内のホームレスの人たちについては、昨年来、区として生活再建に向けた人道的な支援を積極的に行い、本人の意向を尊重しながら、お一人お一人丁寧に自立支援や住居支援を行ってまいりました。その結果、一時は園内に30人を超えるホームレスが生活していましたが、現在では、近々に移行する意思の確認が取れている一名を残し、すべての方々の移行を実現しております。」の部分について。

今回の宮下公園における渋谷区とナイキ社による改造計画が初めて公表されたのは2009年の6月でした。同年9月1日からの工事着工という突然の発表にも関わらず公園内生活者に対する説明は1ケ月前の7月31日まで一切ありませんでした。同年7月31日、渋谷区公園課は公園現地で、公園内生活者に対する説明会を初めて行いました。「俺たちはどうなるのか?」と大きな不安にかられていた公園内生活者に対し、小澤公園課課長は「工事をするから公園は封鎖する。ただ出入りができないだけ。」と、あっさりと生活拠点を切り捨てる発言をしました(※資料5)。ここで確認すべきことは、渋谷区とナイキ社による工事計画は、公園内生活者の生活と先行きに、何ら配慮していなかったという事実です。

またこの説明会の中で、合意事項(※資料6)としてあった「強制排除はしない」との点について確認したところ、小澤公園課課長は、「ゆるやかな排除をする」と、一方的な方針転換を、公然と言い放ちました。強制排除はしないと約束したが、「ゆるやかな」排除なら問題ないとの詭弁です。

再び小屋・テントを失い移動生活に戻るのか、公園外に移転をするのか。渋谷区は「本人の意向を尊重」と言いながら、立ち退きありきの選択肢を提示し、生存と生活の基盤となる住処(すみか)が渋谷区の手中にある状態で、「移行」の選択が「お一人お一人丁寧に」強要されました。渋谷区の提示する移転先を拒めば、着の身着のまま住処(すみか)を失い路上に放り出されますよ、と、丁寧な口調での脅迫が繰り返しなされ、「ゆるやかな排除」が行われたのです。

08年よりの大規模な経済悪化の中、多くの方が失業して住居を失い、路上に叩き出されました。渋谷近辺では200名前後の方が今も路上生活を余議なくされています。多くの方は小屋・テントがなく、持てるだけの生活物資を手に、日々寝床と食糧を探し歩いています。渋谷区はその状況を認識しているにも関わらず「人道的な支援」もせず、捨て置かれているのが現状です。宮下公園の公園内生活者についても、小屋・テントを持たず、段ボール等を敷いて寝ていた方に対しては、一切支援策は示されていません。小屋を持つ生活者にしても、一部の施設に移行した人を除くほとんどの方が、公園周囲の狭い場所への移転を余儀なくされました。それをもって渋谷区は「自立支援」「住居支援」と言っているのです。

本年9月15日の宮下公園全面封鎖の際、何の予告もなく排除された公園内テント生活者が「今晩どこで寝れば良いのか?」と説明を求めると、公園課課長は「自分で探せ」と言い放ちました(※資料7)。生活基盤を突然奪っておきながらのこの発言は、行政のとるべき態度なのでしょうか。これは「ゆるやかな排除」などでもなく「強制排除」に他なりません。

更に渋谷区は、行政代執行後の本年10月1日、残されていた公園内生活者の小屋を、本人の承諾や法的手続きも一切取らず、無断で破壊・撤去しました。公権力の行使は厳しい法的縛りがあるからこそ認められているものであるにもかかわらず、なんら正当な法的手続きを取らず行われたこの行為は、単なる違法の破壊行為です。この小屋破壊に対して渋谷区に事実確認と説明を求めましたが、渋谷区は釈明すら拒否し、違法行為の隠蔽に動いています。渋谷区が、行政として公権力を使って破壊行為を強行し、それに対する説明責任すら果たしていないということは、看過されるには大きすぎる事象です。(※資料8)


▼「今後は、株式会社ナイキジャパンとのネーミングライツ基本協定書に基づき、民間活力を導入した公園整備を速やかに着工し、緑に囲まれた快適で明るい空間形成のための整備を行い、「子供から高齢者および障害者も憩える公園」を目指してまいります」の部分について。

「緑に囲まれた」とありますが、そもそも現状の宮下公園は「緑に囲まれた」公園です。今回の改造計画は、公園南側の緑地的空間を、コンクリートで地面をふさいで「スケートボード場」にするもので、「緑に囲まれた空間」の価値をむしろ低下させるものです。今回の区の発表には4点のイメージ図が添えられていますが、平面図がありません。この計画によって、大きな面積が「スポーツ施設」に改造されてしまうことは、平面図をみれば明白です。(※資料9)


▼「施設配置を工夫し、イベント等にも使える憩いの広場をこれまでより広くします」の部分について。

2006年に大きな樹木を切り倒し、フットサル場(2面)が造られたのに続いて、今後スケートボード場が新設されることによって、憩える場所は、公園全体としては縮小されてしまいます。拡大するのは「憩いのスペース」と渋谷区が呼んでいるものだけです。

以上のように、渋谷区の発表は、虚飾と隠蔽による印象操作に満ちています。「守る会」は今後も、工事の中止、計画の完全凍結を求めます。


【資料・リンク先】

■資料1■
定期的な清掃活動について
⇒A.I.R Miyashita Park【掃除をするのだけれど。。。】2010/04/21
http://airmiyashitapark.info/wordpress/archives/987
⇒A.I.R Miyashita Park公園課倉庫脇のゴミを片付けました2010/06/29
http://airmiyashitapark.info/wordpress/archives/1651

■資料2■
行政手続法 13条1項2号:弁明機会の付与
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H05/H05HO088.html

行政代執行法 3条1項:相当の履行期間
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO043.html


■資料3■
区議会の議事録 平成21年6月都市環境委員会-06月18日-14号
http://www.kaigiroku.net/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?A=frameNittei&USR=tokshis&PWD=&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac21%94%4e&B=-1&T=-1&T0=70&O=1&P1=&P2=&P3=&P=1&K=576&N=2021&W1=%8c%f6%89%80&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=0&EDIT_MODE=0

ourplanet動画 宮下公園 TOKYO/SHIBUYA
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/351


■資料4■
抗議声明賛同人、賛同団体
http://minnanokouenn.blogspot.com/2010/09/blog-post_29.html


■資料5■
7月31日渋谷区公園課より宮下公園住人への工事説明
http://minnanokouenn.blogspot.com/2009/08/blog-post_9493.html


■資料6■
2006年、宮下での3000円アパート事業の際、交わされた3点合意
1、テントに残ったからといって追い出しはしない
2、アルミ缶置き場は設置する
3、アパートに移った仲間は生活保護などを適用して放置しない


■資料7■
DROP OUT TV 『NEWS014 宮下公園全面封鎖・渋谷区の実力行使に市民らが抗議』
http://vju.sub.jp/dtv/?p=918
http://www.vju.ne.jp/dtv/


■資料8■
「野宿生活者の小屋の撤去に抗議します」
http://minnanokouenn.blogspot.com/2010/10/101.html


■資料9■
平面図
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/639


【この件についての問い合わせ】
みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会
minnanokouenn@gmail.com

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