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2025年7月3日木曜日

福祉は野宿者排除の下請けではない

この間の新宿の都道において、東京都福祉局や新宿区福祉事務所、新宿区から福祉事業を受託するNPOが、排除作業を実行する建設局に帯同して現場を訪れている。
当事者から聞いた話では6月4日警告書貼付の際には3者、わたしたちが現認したところ6月18日排除には3者、6月25日排除では東京都福祉局(ほか、所属を明らかにしようとしない福祉関係者)が現場に現れている。
わたしたちが6月10日に現場を訪れた際、都区の事業である自立支援センターの職員がバンを乗り付けてウロウロとしていた。4日以降、毎日のように来ているとのことだった。
さらに、わたしたちが6月16日、工事内容の説明を求めて東京都建設局第三建設事務所(以下、三建)・新宿工区の事務所を訪問した際、東京都福祉局自立支援担当2名が同席していたのに驚いた。建設局から呼ばれて来たとの話だった。工事内容の説明の席に、お門違いな福祉局。わたしたちは、新宿での福祉の有様に強い疑念を感じた。

6月18日は、長期に渡り他の場所に移動しなければならない、同地に戻れる保障もないため、荷物や小屋を残していかざるを得なかった人たちの物件が路上にあった。三建職員の指示のもと、物件を業者が産廃の車に投げ込むなか、ただ突っ立って福祉職がそれを見ている。三建の横暴な態度ゆえ、現場には、はっきりと抵抗の意思を示している野宿者を除けば、ほとんど当事者はいない。建設局から東京都福祉局が呼ばれ、福祉局から新宿区福祉事務所が呼ばれ、新宿福祉からNPOが呼ばれたらしい。現場で立ち会っている新宿福祉事務所職員に、これを排除だと思わないのか?と聞いたところ、「排除ではないとは言えない」との答え。それならば、何のために福祉は来ているのか?と問うと「困っている方がいると思って」との答え。困らせている原因をつくっているのは建設局ではないか、追い出しには協力できないとなぜ同行を拒否できないのか、と言うと黙ってしまった。

生活保護を含め福祉制度は、本人の希望するタイミングで希望する内容を自由意思で選択するものだ。
そのため基本的には福祉窓口に出向いて申請するものとなっている福祉職員が制度について野宿者に周知するためアウトリーチすることは時に必要だろう。しかし、それを(今まさに追い出しをしている、あるいは、追い出しの意図を秘めている)部局の職員と一緒に行うのは、本人の自由意志の尊重という福祉の根幹をないがしろにすることだ。本人の意思を無視し心身ともに追い込む「野宿者排除」は福祉とは相いれないと拒否することで、福祉は自分たちの職域を堅持すべきだ。それが、様々な困窮状態にある人たちと信頼関係を築きながら働いている、福祉の現場の人たちの日々の努力を守ることにもなる。排除に福祉が協力するというのは、そのような努力を水泡に帰させることに他ならない。
昨日(7月2日)、新宿区福祉事務所に確認したところ、6月25日には新宿福祉事務所(および新宿から事業を受託しているNPO)は建設局に帯同するのを取りやめにしていたとのことだ。実際の相談業務に支障となるとも言っていた。
適切な判断として評価したい。

私たちは、私たちにもっとも身近にある行政機関として、福祉は信頼できるものであってほしいと願っている。
東京都福祉局に対し、野宿者排除に協力するのを今すぐやめるよう要請する。

抗議先
東京都福祉局自立支援担当(ホームレス対策担当)03-5320-4098


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