5月20日、10万円の特別定額給付金についての総務省交渉に渋谷、山谷、そして大阪から当事者、支援者ら約50名が結集。メディアも各紙が駆けつけ、注目度の高さがうかがえる。
交渉前には、各地からそれぞれのこれまでの取り組みについて報告。渋谷区、台東区、大阪市、いずれの自治体でも4月27日の総務省通知が住民登録を前提としていることがネックになり、野宿者・ホームレスの人々が給付を受けることが難しい状況にあることが確認された。なおさら今日の総務省交渉には地域を超えた連携で臨むことが必要だ。
なお、交渉前から私たちの周囲には20名ほどの公安警察がつきまとい、監視していた。厳しい生活を送る人々が制度から排除されないよう国に要望しに来ただけなのに、このようなまなざしを向けられることは極めて不当だ。
13時50分、待ち合わせ時刻を10分すぎて庁舎入口に登場した総務省担当者は、20名が入れる会議室を用意した、そこで交渉を始めたいと伝えてきた。
しかし、集まったのは約50名。電話やメールで連絡を取れる人ばかりではないため、当日にならなければ何人来るかわからないこと、全員が参加できる形で交渉したいことなど事前に何度も伝えている。新型コロナウイルス感染予防の観点からも、狭い室内に密集するより、このまま屋外で交渉を行いたいと私たちは訴えた。
このような問答が20分以上も続いたのち、結局、場所を変えずに、ようやく本題に入ることができた。
対応したのは自治行政局地域政策課 特別定額給付金室課長補佐ハセガワ(右)と主査ハヤシ(左)。
まず私たちの側から、共同で作成した要望書に記載している3点の要望を読み上げた。
① 野宿生活者やホームレスの人たちを、住民基本台帳に記載されていない事で給付対象外としないこと。
② 野宿生活者やホームレスの人たちのために、窓口で速やかに完了できるような簡素な手続きと現金手渡しで支給できるよう整備をすること。
③ 住所の認定について、テントや路上などの生活の本拠、及び、現在いる市区町村の役所の住所で、特例的な住所登録を可能とすることを、各市区町村に指示すること。
住民基本台帳に記載されていない状況でも給付金がいきわたるよう、早急に検討することを求めます。
(正確には読み上げたのは①だけ。そのまま話し合いが始まってしまった。)
私たちの要望を受け、総務省ハセガワ氏はまず以下のように述べた。
「住民基本台帳に記載されているかどうかで、今回の給付の対象とするかどうかを区別するつもりはございませんが、二重給付防止の観点で住民登録が今回どうしても必要ということでやらせていただいています。ただ、区役所などで住民登録をするのに色々とお困りだということをお伺いしていますので、そこはいま、ホームレスの方がたくさんいらっしゃる自治体の方とも意見交換を始めていまして、どういった工夫をすれば住民登録がうまくいくのかをしっかりと今後考えていきたいとやっているところでございます。」
自治体と協議をしているという点については注目に値する。
私たちの中からは、住民登録にこだわるのであれば、テントや路上など今いるところか、あるいは自治体の福祉事務所での住民登録を認めるよう改めて声が上がった。総務省は、これらの要望を受け、どうしたらそういうことができるか「超特急で」話し合っていくと回答した。
しかし、住民登録を前提にすれば必ずあぶれる人が出てくる。住民基本台帳に依らずに本人確認を行い支給できるようにしてほしい、というのは私たちの要望の重要な点だ。
「二重給付防止の観点から難しい」という回答を繰り返す総務省に、野宿している当事者からは怒りの声があがった。我々はいま一銭もない。必要な人に一刻も早く給付することを優先するべきだ。この点についても、交渉の中で何度も訴え、最終的に「しっかりと承りたい」という言葉を受けた。
後で知ったことだが、このとき国会では、住民登録できないホームレスの人々について、総務省政務官が「現に居住していることを市区町村に認めてもらえるように取り組む」と答弁していたという。
総務省内でも方向性が統一されていないのに「難しい」と発言したのは、ハセガワ氏の先走りではないのか。改めて再考を求めたい。
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4月28日の総務省通知は住民登録を前提としている。住居以外で住民登録できる場所として自立支援センターやネットカフェを例示しているが、自立支援センターはほぼ満室、ネットカフェはまさに休業要請中でまったく現実的でない。
しかし、これまで交渉してきたどの自治体も、この通知の範囲でしか対応できないという。
野宿者・ホームレスの人々が給付を受けるためには、国が新たな通達を出す必要がある。
この点について総務省は、私たちの要望や自治体との意見交換も踏まえ、新たな通達を出すつもりであると明言した。これは一歩前進である。
いつまでにとはまだ言える段階ではないと言っていたが、早急に対応してほしい。
交渉の最中、総務省は「10万円だけではいずれお金は尽きる」「厚労省につなぐことも出来るので」「福祉の様々な制度を組み合わせながら生活を守るよう」助言し始めた。
これには多くの参加者から怒りの声が飛んだ。自らが行っている事業の中で、対象から漏れてしまう人々が生じている事態をまず責任持って対処すべきではないのか。
そもそも、すべての住民が受けとれるはずの10万円のために生活を変えろというのはおかしな話だ。今の生活のままで受けとれるようにしてほしい。この点について総務省は認識不足を侘びた上で「しっかり承りたい」と述べた。
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今回、交渉にあたった総務省ハセガワ氏は、ある政党の関係者から野宿者・ホームレスの人々の給付について質問された際「テントでもどこでも住民登録できる」と述べたという。 この点について真意を問うと「申し上げた覚えはない、そもそもホームレスの給付金のことでやりとりをしたことがない」
また、雑誌「週刊金曜日」の取材に対し「(福祉事務所の職員と)顔見知りということで住民登録、あるいは給付ができるのではないか」と言う話をしたという。これについても問うと、「しっかり自治体の方とコミュニケーションをとって、何なら顔見知りぐらいまで親しくなって、住民登録などにつながるようにお話しになるといいんじゃないですか、と言った」と意味不明の説明をし「電話があった記憶はあるがどういったやりとりをしたかは(覚えていない)」と回答した。
ハセガワ氏に限らず、このかん総務省の見解は、住民登録がなくても受けとれると言ったかと思えば、それに反する内容の通知を出すなど、二転三転している。
そのたびに、私たちは振り回されている。野宿者に給付することに向けて、一貫した言動をしていただきたい。
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最後に、野宿している当事者が「自分は野宿者だ。本当にいま、仕事もなく苦しい。ものすごく10万円ほしい」「窓口で、そのままその人間を見て、そこで10万円を渡してほしい」と切実な声をあげ、渋谷、山谷、大阪の団体がそろって総務省に要望書を手渡した。
「野宿者・ホームレスの人々への給付がちゃんとできなければこの事業は失敗だ」
「どの自治体も、総務省の通知通りにしかやりません、住民基本台帳に載っていない人にはやりませんという回答しかしない。あなたたちにかかっているということをもう一度考えていただきたい」と改めて訴え交渉を終えた。
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1 件のコメント:
こんにちは
全文拝見させていただきました。 総務省、ハセガワ氏の発言は信用できないですね。
あの方はタヌキですか?
言ったことを、次に行ったら、言っていないって(笑)
渋谷、山谷、大阪の皆様、本当にお疲れ様でした。
皆様の総務省交渉が無駄ではなく、国に対して、必ずや全員スムーズに10万円貰えるようになることを願ってコメントを終わります。
本当に皆様、お疲れ様でした。
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