2012年11月20日火曜日

<みやしたこうえん>の2012年度グッドデザイン賞受賞に抗議します

<みやしたこうえん>が、2012年度グッドデザイン賞及びベスト100を受賞しました。(*http://www.g-mark.org/award/describe/39393を参照。<受賞対象の詳細>は応募時にアトリエワンが書いたもの)。グッドデザイン賞は1957年に通産省主催のGマーク制度として発足し、1998年から民営化されたもので、「私たちの暮らしと産業、そして社会全体を豊かにするよいデザインを顕彰」するものとされています。
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公益財団法人日本デザイン振興会様

 以下のことを抗議します。

 日本デザイン振興会は、<みやしたこうえん>を2012年度グッドデザイン賞及びベスト100に選出するにあたって、当計画が発覚(注1)した2008年5月から継続的な反対運動が起こり、宮下公園での行政代執行と当計画に対する国家賠償請求裁判が2011年4月に提訴されていることは知っていたはずです。この件については、マスメディア等にも報道されており調べればすぐに分かることだからです。それを知りつつグットデザイン賞を授与した責任は重大です。

 「その過程の議論は、現代日本における公共空間のあり方に対する重要な問題提起となった。」(ユーザー・社会に伝えたいこと、より抜粋)
 宮下公園の命名権をナイキジャパンに売却し、さらに公園をナイキジャパンが改造する計画は、一部議員と区長そしてナイキジャパンの間で、議会での議論すらなく秘密裏に進められたものです。
 2010年に情報公開により判明した資料に2008年2月のナイキジャパン<提案書>とナイキジャパン、アトリエワン、東京工業大学塚本研究室による<Nike Miyashita Park project>があります(注2)。それらには、2008年に工事を始める予定であったことが記されています。当計画がマスメディアなどで報じられるようになってからも、渋谷区やナイキジャパンは計画の存在を隠蔽し続けました。渋谷区が初めて計画の概要を発表したのは2009年6月の区長演説です。工事着工は区報において2009年9月と発表されました。その間は、3ヶ月も満たない短さです。渋谷区、ナイキジャパン、アトリエワンが、社会に対して公開性を持った問題提起を行うつもりがなかったことは明らかです。
 しかも<提案書>の内容は、ナイキジャパンの巨大(一辺約10メートル×3面)な広告塔とNIKEイベント用スペースの新設ばかりか公園でのイベントのナイキジャパンによる認否権を要求するなど、露骨な企業利益の追求と公共性の否定を伴ったものでした。
 また、渋谷区は、当時公園内に生活していた30名弱の野宿者に対して、2009年7月31日に追い出しを示唆するだけで具体的な対応策のない説明会を1度行ったのみです。このことからも、反対運動が広く問題を社会に訴えなければ、宮下公園を巡る議論が密室以外でなされなかったのは明らかです。<過程での議論>を惹起し、<問題提起>をしたのはナイキ化への反対運動であって、渋谷区やナイキジャパン、アトリエワンではありません。
 また、ナイキジャパンは自社が主催する説明会(2010年3月24日)すら欠席し、アトリエワンも公開質問状(注3)を無視するなど、渋谷区に輪をかけて、話し合う姿勢はありませんでした。そして、そのような問題提起を無視し潰す形で<みやしたこうえん>は作られました。とすれば、前述のようなことをアトリエワンが自身の成果として述べることは、著しく厚顔であり、それを評価することは、不当にねじれた観点であると言わざるをえません。

 「公園という公共施設の改修に官民が協力する試みによって、さまざま立場の人が官民の仕切りをこえて公共空間を成立させる社会実験」(ユーザー・社会に伝えたいこと、より抜粋)
 ここでアトリエワンがいう官民が「地方公共団体」と「大企業」を指しているのは文脈上明らかです。しかし、<審査員の評価>ではこの部分の言い換えが行われています。
 「ハードとソフトの両面からデザインする官民民協働による社会実験
 官民民、とおそらくは「市民」を意味する文字が加えられています。しかし、この一文字が含意することは重要です。なぜなら、<みやしたこうえん>の成立に「市民」が参加したとは言えないからです。
 そのことは、公園で生活しそこに生存の本拠を置いていたということにおいて、大きな利害関係者である野宿者と話し合いも相談もなく計画が作られ進められたことに象徴されています。(もちろん、「市民」には、野宿者など社会的弱者も含まれます)。渋谷区が野宿者に対する聞き取りなどを始めたのは、2009年9月の着工予定の後であり、それも反対の声の広がりの中で行ったものです。本来、第一に声を聞き誠実に対応しなければいけない人たちを無視して計画が作られ、ナイキジャパンが事業候補者に選ばれた2008年3月からも長くに渡ってなおざりにされてきたことは、<みやしたこうえん>が「市民」が参加した社会実験などではないことを示しています。
 また、宮下公園では2010年9月15日の突然の公園全面封鎖に続く9月24日の行政代執行など渋谷区による一連の行為により、野宿者を排除しまた公園内でアーティスト・イン・レジデンスを行ってきた宮下A.I.Rの物件などを強制撤去しました。このことは、「市民」が参加した社会実験を排除する形で<みやしたこうえん>がつくられたということでもあります。
 そもそも、公園を企業が率先して整備することが、公共性を担保することにつながるとは思えません。なぜなら、公園はあらゆる人たちが利用できる場所であるべきにもかかわらず、企業は自社の利益を生み出す顕在的もしくは潜在的な顧客をその対象にするという限界を持っているためです。それは、ナイキジャパンとアトリエワンの<提案書>に端的に表されています。また、ナイキジャパンと渋谷区が結んだ<協定書>(注4)には、地域貢献をナイキジャパンが行う義務、を負うとあります。しかし、その<地域貢献>の実態とは、2011年8月に行われた<NIKE MIYASHITA CUP>(注5)のように、ナイキジャパンが優先的に商業活動を行うことでした。
 2011年4月30日にリニューアルオープンした<みやしたこうえん>は、そのオープン時に大量の警察官を配置した上で、抗議のプラカードを携帯した人の入場を規制し職員により荷物検査などを強行しました。また、同日、<NO NUKES>との小さなステッカーを公園内に貼った人を逮捕し、それに抗議した人もまた逮捕勾留しました。<みやしたこうえん>は、オープン当日から、表現に対する規制をしました。
 リニューアルオープン以降、<みやしたこうえん>は夜18時30分から朝8時30分まで公園全体を夜間施錠しています。(2012年4月から夜10時30分からの施錠に変更)
 夜間施錠している理由が、野宿者を夜間、公園から追い出すためであることは明白です。(現在、近隣にある美竹公園、神宮通り公園北側においても夜間施錠を行っています)。このことからしても、<みやしたこうえん>において少数者や社会的弱者に権利が考慮されているとはいえません。そのような権利を守り形づくっているのは、多くの場合困難な立場に置かれた当事者や社会運動の闘いであるのが現状です。
 少数者や社会的弱者の権利を必ずしも守ろうとしない渋谷区と自社の利益とブランド・イメージの追求をするナイキジャパンの間にあってアトリエワンが、様々な「市民」と公園づくりを広く公開しながら試みたのならばそれは賞賛に値します。しかし、計画段階においても、実現過程においても、そのような働きをアトリエワンはしませんでした。私たちは、このような思想と思惑の中で作られた<みやしたこうえん>のデザインを認めるわけにはいきません。

 私たちは、みやしたこうえん、にグッドデザイン賞を付与することによって、これらの問題点を社会的に覆い隠すことに抗議します。

 以下について訂正を求めます。

 <受賞対象の詳細>と<審査員の評価>に「運営監理を委託した専属のNPOスタッフ」「NPOスタッフによる運営管理」と書いてありますが、それは間違いです。<みやしたこうえん>の運動施設などの管理運営業務を委託されているのは株式会社FIDOスポーツです。アトリエワンが賞に応募する際に、そして現在も、このような基本的な事実すら誤解していること自体が、彼らの<みやしたこうえん>への認識不足を表しています。また、事実と違う内容を肯定的に評価している審査も大いに疑問です。HP上で間違いを明記する形で訂正を求めます。

(注1)地元タウン誌のすっぱ抜きによって露見した
(注2)<提案書>http://goo.gl/88qzo
<Nike Miyashita Park project>http://goo.gl/ENHQ2 
(注3)http://j.mp/SINy1y
(注4)http://goo.gl/88qzo
(注5)みやしたこうえんの近くに臨時のNIKEショップをオープンさせ行われたフットサルイベント。一般利用が18時30分のところを21時30分すぎまで利用するなど優遇
             
             みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会  2012年11月20日

連絡先    
minnanokouenn@gmail.com

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