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2021年5月14日金曜日

4月30日野宿者メーデー 産労局交渉報告


今年の野宿者メーデーは、山谷の方々と共に、輪番(段ボール手帳)仕事について東京都産労局と交渉した。

昨年もまた緊急事態宣言下でのメーデーであった。今年も、産労局は宣言を理由に、3人で30分にしろと無理な注文をつけてきたが、私たちはマスクした上で距離をとって座り、なるべく公共交通を使わないことで40名での交渉を実現した。

ねる会議としては、今年になってから、3月22日、4月16日に続いての3回目の交渉になった。

まずは、渋谷・山谷からのそれぞれの交渉経緯を共有してから、メシを食べつつ(山谷カレー、渋谷唐揚げの持ち寄り)マイクアピール。大量の警備員とともに都庁前広場に控えていた産労局職員が13時になると、道路際まで出てきた。

新任の金野(担当者)石田(課長)に、近藤(古参職員)の3名。

まずは、産労局としての3・22質問要望書などについての回答を金野が読み上げた。

①昨年度の人工数はおよそ3万1千人(例年の6割)。
②今年度の道路は7200人で、公園・港湾を合わせて40640人(例年の8割)
③現地解散は、山谷地域の仕事であり出来ない。バスの送迎は労働者の利便と統率を考えたもので一連の流れである。車内では自由であり使用者の指揮命令下にないので就労時間ではない。
④8月については近年気温が高く都内では事故が多発している。昨年は、試行的に就業時間を短くしたが、体調不良の方もいた。熱中症の危険が高いので休止。コロナで医療が逼迫しており適切な治療ができない可能性がある
⑤暑さ指数の告知方法について。暑さ指数31以上で中止するが、環境庁ホームページを確認してくれ。中止決定の場合は紹介所(玉姫職安など)で掲示、紹介所に電話したらお知らせする。
昨年8月(平日)で暑さ指数31を超えたのは13日(65%)。
⑥監督などのパワハラの相談窓口設置について。労働者から都にも玉姫にもパワハラの話は寄せられている、また真剣に働かない労働者がいるのに監督が注意しない、との声もきている。ひきつづき適切に指導していく。
⑦昨年や今夏の休業補償については、日雇いなのでする必要がない。

産労局の回答に対して、質問をぶつけていった。
まずは、コロナで昨年6割しか仕事がなかったのに、日雇いだからといって、産労局のみならず行政から何の支援もないのはおかしいという指摘をした。
8月が仕事がとまるとメシがくえないという労働者の声については、福祉事務所で生保の相談してくれ、という無責任な回答。
バスの増便などはコロナ対策費から出すべき、ということに対しては、1兆円の地方創生交付金は病院など以外には使えないので、事業費から出すしかないと石川。
さらに、今年度はコロナを予想できたのだから、なんで予算(12.3億)を増やさなかったのか、という真っ当な指摘には、昨年の人工数より1.3倍になったとの答え。例年の6割だった昨年の人工数を基準されたら、たまったものではない。

仕事終了後の現地解散の可否について、労働者の利便は(現場近くに用事のある山谷の方も含め)できた方が高いのは言うまでもない。
そもそも高田馬場などにもあった日雇い職安が閉じられた結果として、輪番の仕事だしが山谷地区の職安だけになったのだ。閉所時には、山谷(の職安)に行ってくれと職員が案内していた。そういう経緯について指摘し質問したが、山谷の事業だから山谷に戻るのだと繰り返すばかり。
帰りのバスに乗るのが強制ならば就業時間になるはずだ。近年まで出来ていた現地解散ができないのは、どう考えてもおかしい。

暑さ指数は休業はいつ決定するのか?という質問については最終的には事業者が決定するとの答え。それでは、雨の時のように事業者によって判断がバラバラになるのか、と質問したとたん、近藤が耳打ちして、全員が踵を返して引き上げていく。
まだ話は途中だ。足早に歩く3人を大勢で追いかけ、庁舎のエレベーター前でつかまえた。こちらの勢いにたまりかねたのか石川が、帰りますと叫ぶ(どこへ?)。と思ったら、都庁前広場の道路際へと逆戻り。
元の場所に戻ってきた(奥の背広が都職員)
交渉続行。結局、産労局はきちんと考えてなかったらしく、しどろもどろに回答。内容をまとめると、

前日夕方の予報で暑さ指数31を超えていたら中止、前日に超えていなくても、当日朝6時に暑さ指数31を超えていたら中止、とのこと。

しかし、産労局は事業者に厳格にお願いするといいつつ、玉姫まで来てしまった事業者を帰すことはなく最終判断は事業者のようだ。
最後に、8月が35%が暑さ指数31を超えてないのなら、仕事を出すようにしろ、と強く要望して1時間半の交渉をおえた。
暑さ指数での中止が朝6時に決まる場合は、渋谷・新宿の労働者はもう電車に乗っている。どうするのか?

※注記 8月13日、山谷が金野に確認したところ、前日16時半の環境庁予想で指数31を超えていたら中止にする、という基準に一本化したようだ。しかし、告知が環境庁HPでは多くの野宿者は確認することが難しいだろう。労働者の生活の実態に沿った施策にしてもらいたい。

8月の仕事だしや現地解散、相談窓口についても、まだまだ、追及・要望を続ける必要があるようだ。輪番の仕事は、コロナ禍にあって渋谷や新宿の貧困者にとっても命綱だ。
今後も交渉していく。




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