抗議及び質問及び要求
渋谷区区長 長谷部健殿
宮下公園ねる会議
私たちは宮下公園で就寝していた野宿者とその支援を行っていた者を含む団体です。
2017年6月8日第二回渋谷区本会議において長谷部健区長は、3月27日の宮下公園供用停止及び公園周辺の仮囲いについて経緯の説明を行いました。また、その区長発言をしぶや区ニュース(6月15日号)に掲載し、区民に全戸配布しました。
私たちがこれらについて抗議する主な点は以下です。
1,宮下公園の野宿生活者が、仮囲い時にシェルターやアパートの入居を完了していたというのは嘘です
「宮下公園の敷地には、昨年六月には約二十五人のホームレスが起居していましたが、平成二十九年三月二十七日の時点でシェルターやアパートへの入居が完了いたしました」とありますが、この場合の「宮下公園の敷地」とは宮下公園脇の遊歩道に暮らしていた小屋を持つ野宿生活者を指すものと思われます。それらの野宿生活者の全員が、2017年3月27日、シェルターやアパートに入居していたわけではありません。事実、4月半ばまで、渋谷区が小屋への出入りを認めていた方がいました。3月27日の時点で小屋に居住している人がいなかったというのは嘘です。
2,宮下公園には、昼間利用し、夜間は就寝している野宿生活者がいました
区長発言は、この重大な事実について一言も述べていません。宮下公園では、年始から10名前後が毎日就寝していました。区長発言にある「個人所有の荷物を公園内に長期間放置」というのは就寝に必要なダンボールなどであり、「許可なく小屋などの不法工作物を設置」は厳冬期に命を守るための毛布を置く小屋です。3月26日から27日にかけては、9名の野宿者が宮下公園内で就寝していました。それにもかかわらず渋谷区と三井不動産が仮囲いを行ったことが3月27日の混乱を生んだことを区長は分かっているはずです。このような故意の隠蔽を公の場で行うのは大きな問題です。
3,話し合いを求めていたのは私たちで、それを拒否していたのは区長です
「今回の作業に際しては、ホームレス支援を標榜(ぼう)する人が、作業の安全のために警備にあたっていた警備員や要請により駆けつけた警察官などに暴力的な行為を行い、その結果身柄を拘束されるなど、残念ながら、平穏な話し合いは、非常に困難な状況でした。」とあります。大量な警備員を配置し、警察に警備要請をした上に、何の告知もせずに仮囲いを強行するのが、渋谷区の考える「平穏な話し合い」の姿勢とは呆れます。仮囲いは、公園内に野宿生活者がいる中で行われたものです。それらの野宿生活者に会うために公園内に入れてほしいという当然の要求の中で逮捕は行われました。暴力的な状況をつくったのは渋谷区です。私たちと共に闘う団体が、2016年12月20日、1月4日、文書にて長谷部区長に対して面談を要求しましたが、いずれの回答も「日程調整が困難」を理由に拒否しました。私たちは総務課に対して区長と話し合いを何度も申し入れていますが「それは出来ません」と即答されています。また、3月27日においても最後まで公園内に残った野宿生活者は区長との面会を要求しましたが拒否されています。私たちは、区長との面会を昨年末から求めていますが、一度も実現していません。
4,公園閉鎖は三井不動産の利益のためです
「七年前の宮下公園リニューアル時の執拗な妨害行為や昨年の新国立競技場建設のための明治公園閉鎖に伴う同様の妨害行為」とあります。これらの計画は、公園の公共性、野宿生活者の人権、などから強く抗議されて当然のものです。宮下公園リニューアルに関して、ナイキジャパンと渋谷区の契約に違法性があることは国賠訴訟の判決の中でもはっきりと指摘されています。また、それらの闘いの中で工事の調査について実力で阻止をした事実はありません。「今後の「新宮下公園等整備事業」の工事に備えて行う既存施設や埋設管の状況の調査等」は、三井不動産が発注するものです。定期借地権契約を未契約の三井不動産が宮下公園を独占しているのが現状です。仮囲いは「公園利用者や歩行者の安全を確保」のためではなく、三井不動産が求める過剰な安全を渋谷区が優先したものです。区長発言は、24時間開放を含む公園の公共性、野宿生活者の人権についての正当な要求行動に悪印象を糊塗し、三井不動産による脱法的な公園占有を容認し、公園閉鎖の責任を私たちに押し付けるものです。
5,野宿生活者に対する認識、福祉に対する認識が不充分です
野宿生活者は、やりがいのある仕事がなく格差がひろがる社会状況において作り出されるものです。また、つながりの中で自活しているその生活にも固有の尊厳があります。
渋谷区の福祉が利用している宿泊施設の多くは、貧困ビジネスとされている劣悪な事業者によるものです。それらの施設における野宿生活者や生活保護受給者に対する差別的な発言や受給費の法外な天引きなどについて、私たちは生活福祉課に問いただしているところです。また、「ハウジングファースト事業」は現在、満床であり利用が出来ません。
区長発言は、野宿生活者に対する社会的な認識が欠落しており、福祉に押し込めればいいとする安易で独善的な思い込みが見られます。
6,野宿生活者や支援者に対する敵意を広布することは、野宿生活者への差別・襲撃を助長しかねません
区長発言は、全体にわたって、野宿生活者への支援活動、小屋や荷物など野宿生活者に必要な物資についての悪辣な敵意に満ちています。また、区の広報誌を使って、その発言を一方的に区民へと周知しました。区長として行うべきことは、これらの活動や生活についての正当な認識を市民に広めることです。このような区長の姿勢は、現在、残念ながら、社会に存在している野宿生活者への差別・襲撃を煽るものです。
質問
A 区長は、野宿生活者の社会的背景についてどのように考えているのか明らかにしてください
B 区長は、民間が行っている野宿生活者に対する支援活動についてどのように考えているのか明らかにしてください
C 区長は、3月27日の突然の宮下公園閉鎖によって追い出された野宿生活者について、どのように考えているのか明らかにしてください。
D 区長は、3月27日の宮下公園閉鎖についての三井不動産との間の経緯を明らかにしてください。また、渋谷区の会議内容など、経緯が分かるように明らかにしてください。
E 区長は、三井不動産が定期借地権を取得せずに供用停止中の公園を独占的に使用している状態を適法と考える根拠を明らかにしてください。
F 「不法に設置された工作物などを所有者の了解を得て解体」したとありますが、具体的に何をさしているのか明らかにしてください。
要求
私たちとの面談に応じよう区長に要求します。
2017年6月26日
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