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2015年8月26日水曜日

長谷部健渋谷新区長に公開質問状を出しました

長谷部健区長に宮下公園を巡って公開質問状を出しました。回答期限は9月4日です。

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長谷部健渋谷区区長殿
2015年8月24日

私たちは、みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会、です。
2011年4月21日、当会を含んだ原告が渋谷区に対して提訴した宮下公園の国家賠償請求裁判は、2015年3月13日に東京地方裁判所による判決を迎えました。判決は、宮下公園のナイキ化が「負担つき寄付」にかかわらず議会の議決を行っていないこと・競争入札が必要であるにもかかわらず随意契約であること、が地方自治法違反にあたることを指摘し、2010年9月15日の宮下公園封鎖時の野宿生活者の排除は「直接強制」にあたり国家賠償法上違反であることを認定し、賠償金の支払いを命じました。新区長は、この判決を真摯に受け止め、即刻上訴を取り下げるべきだと当会は考えます。
以下の諸点について、事実・見解を明らかにすることを新区長に求めます。

1 宮下公園ナイキ化計画への関わりについて

a 2004年5月渋谷区区立美竹公園にナイキジャパン社によってバスケットコート(ジョーダンコート)が寄贈されました。この寄贈について区長の提案により実現させたことは度々述べられています(注1)。区長とナイキジャパン社の関わりについて明らかにしてください。
b 宮下公園のナイキ化計画について、区長は「自主提案してって俺がケツをたたいたわけ」「彼らに具体的なプランを作ってもらって提出してもらったって感じかな」(注2)と発言されています。この計画においてナイキジャパン社と渋谷区の間を取り持った役割について具体的に明らかにしてください。
c 2007年9月12日のナイキジャパン社・アトリエワンによる渋谷区区役所でのプレゼンテーションには出席しましたか?また、その席ではどのようなやりとりがありましたか?
d  ナイキジャパン提案書では、公園内に10メートル四方以上の広告板を3面、ナイキジャパン社のイベントスペースが設けられ、他者の実践するイベントについてはナイキジャパン社の事前確認と承認・否認の権利を提案しています。また、ネーミングライツ選定委員会議事録から年間200日位の優先的使用を提案していることが分かります。区長はナイキジャパン社に提案させた立場として、提案内容を掌握していましたか?また、その内容についてはどのように考えていたのですか?

2 宮下公園に居住していた野宿生活者について

a 宮下公園に2007年当時、野宿生活者が小屋やテントなどで生活していたことを認識していましたか?区長は野宿生活者の存在を認識していたとすると、それらの人たちの人権や生活を無視して計画を発案したことになります。また、認識していなかったとすると、現状についての把握も行わず計画を無責任に発案したことになります。これらの意見に対する見解を明らかにしてください。
b 2008年2月6日提出の宮下公園に関するナイキジャパン提案書によると、当初の2008年4月8日から工事を行う予定を立てていたことが分かります。また、渋谷区は区報その他によって、2009年9月から宮下公園の工事を行うと広報しました。しかし、渋谷区が同公園の野宿生活者に対して、曲がりなりにも意向を調べ始めたのは2009年9月9日以降です。これらのことから、渋谷区が同計画で深甚な影響を受ける同地の野宿生活者のことを軽視していたことが明らかです。当時、これらのことについて区長はどのような対応を区に求めていましたか?
c 区長は2007年度から2010年度にかけて都市環境委員会の委員を務めています。しかし、委員会の中で宮下公園・宮下公園の野宿生活者への配慮について発言は全くしていません。関連する予算特別委員会都市環境分科会2010年3月19日において「新しくやっていくに当たっては誠意を持って対応していただくということをお願いしたんですが、大分誠意は尽くされているのかなという気もちょっとしてきたり。ただ、どこかで線を引くという言い方をしちゃいけませんけれども、何か行政のほうも考えなきゃいけないんじゃないかなという、今、それだけを聞いている情報だとすごく感じます」と不明瞭な発言をしています。この「お願い」はいつどこで誰にされたものでしょうか?また「線をひく」「行政のほうも考えなきゃいけない」というのはどういうことを指しているのでしょうか?(なお、この分科会において小澤公園課長が(ホームレスが)「今、現実にいらっしゃるのは、上の部分で1名でございます」と発言したのは明白な誤りです。渋谷区調査で2010年1月14名、2010年8月4名)
d 前述の判決において、2010年9月15日の公園封鎖時の野宿生活者の排除が「直接強制」として違法を認定されています。区長が提案した宮下公園のナイキ化は野宿生活者の強制排除を伴うものであったと法の場で審判が下されたことになります。一方、区長は区長選挙立候補時に「ホームレスの排除を推進している議員だと言われていますが、まったくそんなことはない」(注3)と述べています。矛盾していると思いますが、見解を明らかにしてください。
e 2010年2月、渋谷区は宮下公園の1F遊歩道脇に小屋を設営し宮下公園内の野宿生活者に対して移転を強制しました。その小屋へ移った方のうち少なくとも5名が熱中症などで亡くなっています。宮下公園内に比べ、移転先の小屋の立地には樹木などがなく通気性も悪いことは当会で指摘していました。どうお考えになりますか?
f 区長と同会派であった伊藤毅議員は、2010年4月20日宮下公園を訪れ「もしホームレスが園内から立ち退かなければ強行手段に出ざる終えないだろう」(注4)と言い、2010年6月11日区議会において「どうしても話し合いで解決できない場合には、「反対団体の強制撤去もやむなし」と考えております」と述べています。これらの発言は、「直接強制」につながりかねない危険なものだと考えますが、区長の見解を明らかにしてください。
3 「みやしたこうえん」について

a 前述の判決において、ナイキジャパン社との契約が地方自治体法違反と認定されたので、宮下公園内の施設は違法工作物になります。どのように適法状態へ回復しようと考えていますか?
b 「みやしたこうえん」は、以前の公園に比べ、特定の目的でしか使えず、また、有料化することによって特定の人たちしか利用できないスペースが拡大しました。また、2010年5月以降、数千人規模の集会も行われていた集会場の占有許可条件に使用人数上限300人の制限が加えられました。以前の公園と比べた時(特にフットサル場が出来る2006年以前)、このことをどう評価されるか明らかにしてください。
c 宮下公園整備計画(案)説明会などや都市環境委員会(2009年7月16日)などで、夜間施錠は運動施設に限り公園全体は24時間開放すると渋谷区は説明してきました。また、当会は同様の説明をリニューアルオープン直前まで区側から受けてきました。しかし、オープン後から現在まで公園の夜間施錠が続いています。公園は24時間利用者に開かれているべきだと考えます。夜間施錠を続ける意図を明らかにしてください。
d 2014年7月以来、「みやしたこうえん」には集会などに使用する広場を中心に監視カメラが設置されています。利用者のプライバシーを侵害する監視カメラをただちに撤去するように求める声明に対する賛同署名(341筆)を2014年9月16日に当会は渋谷区(前)区長などに提出しています。区長は撤去するおつもりはないのでしょうか?

4 新宮下公園等整備計画について

a 区長が同整備計画の概要について聞いたのはいつですか?
b 2015年3月本会議において継続審議(実質的に廃案)になった同整備計画について、区長は「9月の定例区議会に(事業候補者との基本協定案などを)再提出したい」と発言しています。その理由を明らかにしてください。
c ナイキジャパン社による「みやしたこうえん」は2011年4月に、契約期間は10年でリニューアルオープンしました。約半年間の工事(公園閉鎖)、及び施設費用だけで約2億5千万がかけられています。東日本大震災による被災地の資材不足の中での工事でした。同整備計画は「みやしたこうえん」を更地にして新築するものですから、これらの資源や公園閉鎖が無意味になります。宮下公園のナイキ化を立案推進した区長が、今度は新整備計画を推進するのは一貫性がありません。見解を明らかにしてください。
d 宮下公園の耐震性に問題があることは、2008年9月に東急建設株式会社一級建築士事務所の渋谷駐車場耐震診断で明らかになっています。渋谷区とナイキジャパン社が、公園を大規模改修するにあたって、耐震補強を行わなかった点も不自然かつ無責任です。また、宮下公園の耐震補強を区の財政から支出すれば、現在のような資源の無駄で一貫性に欠ける整備計画をたてる必要はありません。宮下公園の耐震補強にはいくらかかり、それを区の財源で賄えない理由を明らかにしてください。
e 同整備計画において、ナイキジャパン社はどのような関わりを持つ予定ですか?区長と同社の関係から考えても、区長が同社に何の相談もなく計画を推進することはありえません。同社との間でどのような話し合いが持たれているか明らかにしてください。
f 宮下公園の1F部分には、2011年、ナイキ化計画を推進する渋谷区自ら作った野宿生活者のための小屋があり、そこで暮らしている人たちがいます。同整備計画においてどのような対応を考えているか明らかにしてください。
g  同整備計画検討委員会の議事録・資料を早急に公開してください。

以上についての区長からの回答を9月4日までに書面で下記連絡先宛てに求めます。
なお、当質問状及び回答は広く公開します。

連絡先 みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会 
〒150-0011 東京都渋谷区東1-27-8-202のじれん事務所気付

注1 who real is it 長谷部健インタビュー2009年1月13日http://goo.gl/UYgMZJ
注2 「公園は誰のもの?宮下公園の事例から」2012年2月2日インタビュー(桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部)
注3 渋谷区区長選挙公開討論会発言2015年4月18日
注4 CNN2010年5月20日Kenji Hall記事http://goo.gl/CBwgbe
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2aの「そられ」を「それら」に訂正しました。

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