Translate

2015年12月27日日曜日

<声明>年末年始の渋谷区立宮下公園終日閉鎖に断固抗議する

渋谷区区長 長谷部健殿 
渋谷区土木清掃部部長 黒柳貴史殿

12月25日、渋谷区は当会の質問に、宮下公園を12月28日22時30分から1月4日8時30分まで閉鎖すると返答した。

宮下公園は2011年4月のナイキジャパン社によるリニューアルオープン以来、説明会などで行わないと渋谷区が約束していた夜間施錠が続いている。また、2013年12月29日深夜に公園内で行われていた「越年越冬闘争」を渋谷区は大量の警察官と職員によって排除し閉鎖した。2014年にいたっては、宮下公園、近隣の美竹公園・神宮通り公園を年末年始に終日閉鎖した。
24時間だれもが使えるべき公園に対して、渋谷区は利用者を無視した恣意的運用を行ってきた。

本年12月17日、美竹公園の公園閉鎖をしない旨を渋谷区はホームページ上で発表し報道もされた。一方で、宮下公園の閉鎖についてはぎりぎりまで答えず、明確な発表も行なわないまま渋谷区は本日12月28日業務を終えようとしている。(なお、神宮通り公園北側についても閉鎖するとのこと)

渋谷区は宮下公園閉鎖の理由を「外来者による治安上風紀上、問題がある行動が起きるおそれがあるため」と当会に答えた。しかし、そのようなおそれ自体はいつでもあり、公園閉鎖をする特段の理由になりえない。また、炊き出しなどの活動は「治安上風紀上」の問題行動ではない。

渋谷区の今回の決定の背景にあるのは、2019年に営業開始予定の新宮下公園等事業だ。3階だての商業施設の上にホテルを併設する形でつくられる新宮下公園は、商業施設に付随する場所にすぎない。そのような公園をつくるために渋谷区は今から「公園とはいえない公園」を維持し強化する必要があるのだろう。
しかし、わたしたちは「公園」を求めている。公園を必要としているのは、まずはお金を持っていない人や行き場所に困っている人だ。もちろん、それは年末年始も同様だ。

長谷部区長はナイキジャパン社と渋谷区の契約を違法とする判決に対して、渋谷区は適切に手続きを進めたとうそぶき、野宿者の強制退去を違法とする判決に対しては残念とするなど、これまでの経緯を反省する姿勢が認められない。その上で、宮下公園周辺の小屋に住む野宿生活者に対し、長谷部区長は「アイリブシブヤ」というホームレス支援事業を活用することを公言している。しかし、居場所を奪われる状況で提示される選択は、当事者の主体的な選択にはなりえない以上排除である。わたしたちは美竹公園の開放を手放しで喜ぶことができない。「アイリブシブヤ」事業や宮下公園を閉鎖したままでの美竹公園開放は、商業空間=新宮下公園の実現に向けてのガス抜き・アリバイづくりである懸念を拭えない。

わたしたちは、年末年始の宮下公園終日閉鎖に抗議し、即時開放を求める。

2015年12月28日

2015年12月25日金曜日

速報!宮下公園は今年も年末年始、終日閉鎖!

12月21日に当会で、緑と水・公園課に対して、年末年始に宮下公園を開園するように要望しました。
公園課の返答は関係部署と調整中で未定とのことでした。
本日、電話で聞いたところ、
12月28日夜10時半から1月4日朝8時半まで、宮下公園は終日閉鎖。

宮下公園はこれで3年連続年末年始閉鎖することになります。
断固、公園開放を求めます!



2015年12月1日火曜日

新宮下公園の問題1  <新宮下公園>は立体都市公園制度を悪用している

<新宮下公園>は都市公園法上の立体都市公園制度の利用を予定しているが、制度の趣旨を明らかに曲解している。
今年3月に廃案になった三井不動産による17階ホテル提案にも、それは表れていた。立体都市公園制度の趣旨は「都市公園の下部空間に都市公園法の制限が及ばないことを可能にし、当該空間の利用の柔軟化を図る」(都市公園運用指針 国交省 以下「」内は同指針)である。しかし、この三井案は都市公園法の制限を公園の上部にも及ばなくさせてホテルを建設しようとする違法の可能性が高いものだった。
今回11月に提出された案では、渋谷区は公園を一部廃止(用途変更)することでホテル敷地を確保しようとしている。行政が一企業(三井不動産)のホテルをつくるためにここまで強引なことをするのも異様である。
さらに、たとえホテルを公園敷地から外しても、3階立ての商業施設の上に公園を作ること自体が立体都市公園制度の趣旨に反している。
なぜなら、この制度は「都市部において都市公園の用地取得に膨大な事業費を要することから、他の施設との立体的利用により都市公園を整備することが効率的な場合」に適用されることが望ましい、とされているからである。
つまり、公園を新設する際の苦肉の策として基本的に案出されたものである。
既存の都市公園に適用することも可能であるとしているが「都市公園の機能・効用が低下するような場合には、立体都市公園制度を適用することは望ましくない」と厳しく制限している。また、「既存の都市公園に立体都市公園制度を適用するのは、原則として既存都市公園の地下を利用しようとする場合になるもの」と示している。公園が建物の上になれば当然利用しにくくなるわけで、既存公園を立体公園にした例は今までに知られていない(注)。
立体都市公園は、都市の中に公園(オープンスペース)を増やす制度であって、公園敷地を利用して商業空間を作るためのものではない。
渋谷区と三井不動産の計画案は、同制度の逆用であり悪用である。

注 既存公園での立体都市公園制度の利用ー国交省に問い合わせたところ、愛知県刈谷市にある野田公園で1例あるとのことでした。
ただし、野田公園の場合は浸水対策の貯水施設を地下につくる際に、都市公園法上2ha未満の公園(野田公園1.5ha)には同施設は出来ないという制限があり、公園地下を公園から外すために立体都市公園制度を利用しているものです。

2015年11月24日火曜日

公開質問状に対する長谷部区長の回答と私たちの見解

8月24日長谷部区長への公開質問状及び10月5日当会申し入れについての回答が長谷部区長から10月26日付で届きました。

以下、10月26日付回答及び9月7日付回答についての当会見解です(「」内は公開質問状や回答からの引用です)。

【10月26日回答について】
10月26日付回答は10月5日申し入れに書いてある「当会について正しく認識してください」という指摘に対しての回答が何もありません。
また、9月7日付回答が「質問4 新宮下公園等整備計画」について曲がりなりにも1項目ずつ回答しているのに対して、10月26日付回答は質問1~3について項目ずつ回答しておらず、いくつもの重要な質問について無回答のままです。
これらのことは、当会質問状に対して不誠実です。

●ナイキジャパン社との関係を誤魔化しています
長谷部区長は「株式会社ナイキジャパン社から宮下公園の整備について具体的な提案を受けた平成20年」と記していますが、それより以前に、ナイキジャパン社に対して提案するように働きかけたと言明(質問1b)しています。そのことに関連する質問(質問1a1b1c)について回答せず誤魔化しています。
また、都市環境委員会すら2009年(平成21年)6月まで報告されず、利用者や議会の水面下で行われた2008年2月3月の選定委員会委員ではなかった長谷部区長(当時区議)が「具体的な提案」を受けられたのは、ナイキジャパン社との密接な関係なしにはあり得ません。「渋谷区とナイキジャパン社とのやりとり」について把握していなかったとありますが、提案を受けたこと自体が渋谷区とナイキジャパン社のやりとりの一部であったと言えます。具体的な提案を受けたのであれば、質問1d(ナイキジャパン社提案書についての当時の見解)について故意に回答を避けています。

●野宿生活者の状況は把握していたはずです
また、当時の「宮下公園内の野宿生活者の状況等については把握しておりませんでした」と記しています。しかし、2006年6月13日に長谷部区長(当時区議)は文教委員として4日後にオープンするフットサルコートの現地視察を宮下公園で行っています。その当時50名以上の野宿者が公園内に生活し、このフットサルコート設置自体、当時同会派だった伊藤毅区議がホームレス対策として強力に推し進めたものです。長谷部区長が状況を把握していなかったというのは到底信用できません。また、本当に把握していなかったのだと強弁するのなら、同公園の状況を知らずに「整備の必要性を認め、整備の推進を支持」するという政治家としてあるまじき姿勢を認めていることになります。

●渋谷区が損害賠償をするのは当然です
強制退去については、地裁・高裁とも直接強制は国賠法上の違法であるとし損害賠償の支払いを命じました。裁判所が裁定している以上、渋谷区がその支払いをしたのは当然のことにすぎません。判決を「真摯に受け止め」たとしたら「残念ですが」という言葉が出てくる余地はありません。

●渋谷区の行政代施行が適切であったとは言えません
行政代執行について違法であるとは認められないという地裁判決をもって、渋谷区の対応が適切であったと言うことは出来ません。なぜなら、地裁判決において行政代執行の手続きについては違法を認めているためです。手続きが違法であったということは、行政としての対応が適切ではなかったということです。

●ナイキジャパン社と渋谷区の契約が違法であることは確定しています
地裁判決は<渋谷区立宮下公園ネーミングライツ基本協定>が地方自治法96条及び234条違反であることを明確に述べています。高裁は、控訴の範囲に当たらないことから渋谷区による反論を斥けました。つまり、この点における裁判所の判断は地裁判決以外に示されておらず、また渋谷区は最高裁への上告を断念しましたので、地裁(原審)の判断が確定したのは明らかです。
ましてや確定していないから「渋谷区は適正に地方自治法の手続きを進めたもの」というのは、理屈にもなっていません。
契約が違法(地方自治法違反)である以上「現状どおり~宮下公園の適正な管理に努めて参ります」というのは、違法状態を続けるということになります。それは言うまでもなく適正な管理ではありません。
ナイキ化計画に多大の責任があり、現在は区長という重責のある立場にあるにもかかわらず、回答からは自分の責任を認め反省する姿勢が見られず不信感を持たざる得ません。

【9月7日付回答について】
9月7日付回答について見解を述べます。

●新宮下公園で一貫しているのは公園の性質を商業化することです
私たちは、新宮下公園はナイキジャパン社による公園改造を上回る商業施設化だと考えています。その点では、長谷部区長が回答dで述べているように「一貫性に欠ける整備計画ではありません」。しかし、私たちが質問の中で一貫性に欠けると指摘していたのは、耐震性の問題が言われていたにもかかわらずナイキジャパン社は補強せずに公園施設の新設・改造を行い、今度はその公園を5年で壊すというありかたです。「財政負担を極力抑えて整備できる」から問題ないとの考えは実に皮相なものです。長谷部区長は、環境問題を旗印に街のゴミ拾いをするNPOグリーンバードを創設していますが、この一貫性のない計画により厖大な資材がゴミになります。また、耐震補強の概算すらしようとしておらず、新宮下公園は大企業による公園改造ありきで進められていることが分かります。

●<アイ リブ シブヤ>の位置づけが疑問です
回答f におけるホームレス支援プロジェクトはいわゆる<アイ リブ シブヤ プロジェクト>以外ないと思いますが、参加しているNPO団体の人々にこれらのプロジェクトが宮下公園1F部分の小屋の野宿者を対象にしていることを説明しているのか疑問です。排除が行われる場所を重点的に対象にするものならば、このプロジェクトは新宮下公園に賛同し排除に協力するものになります。

【直接の話し合いについて】
まず、当会に対する区長の認識が正しいものかどうかの確認が取れていません。
また、いただいた回答は言い逃れや誤魔化しが多く、渋谷区や区長の反省謝罪が述べられていません。判決の受け止めさえきちんとしない区長が私たちと何を話し合うつもりなのか不明です。私たちは、長谷部区長に真摯な反省と謝罪を求めます。

*******
2015年8月24日長谷部区長への公開質問状 http://tinyurl.com/o7cv77y
2015年9月7日長谷部区長からの回答1 http://tinyurl.com/p3rpmc7
2015年10月5日回答1への申し入れ http://tinyurl.com/qb7dlkn


2015年11月16日月曜日

宮下国賠 渋谷区が損害賠償金を出しました

宮下公園の野宿生活者を公園封鎖時に無理やりかつぎあげ暴力的に排除したことが、法的に許されない「直接強制」にあたるとして裁判所より渋谷区に損害賠償が命じられました。

遅延損害金を含め 138027円

以下が支払額調書などです。



2015年11月6日金曜日

地域住民ビラの再配布

11月6日、宮下公園周辺の地域のみなさんにビラを配布させていただきました。

ビラのニューバージョン(そんなに大きく異なりませんが、、)


2015年10月15日木曜日

声明の提出、地域ビラの配布

本日、13日から仮庁舎の渋谷区役所に声明に提出をしました。総務課・文書課・緑と水公園課・生活福祉課に手交しました。また、公開質問状への再回答がすでに期限を過ぎているので、早く回答するように強く求めました。その後、庁舎前で声明を職員などに配りました。
「宮下公園の周辺地域のみなさんへ」とのチラシのポスティングも行いました。

宮下公園の周辺地域のみなさんへ

宮下公園の周辺地域のみなさんへ

宮下公園ナイキ化反対! 国賠訴訟は、渋谷区に対して私たち原告団が勝利しました。
そのことをお知らせするとともに、今後の宮下公園の在り方についての私たちの考えをまとめたものを配布させていただきます。

●現在の「みやしたこうえん」は違法です
みなさんは、宮下公園がナイキジャパン社によって年間1700万で命名権が買われ、名前のみならず公園そのものが改造されたことを覚えていられると思います。私たちは、宮下公園のナイキ化計画とは、公共のものである公園を特定の大企業の商業活動の場所として売り渡し、公園で生活している野宿者を排除するものとして反対してきました。しかし、渋谷区・ナイキジャパン社は私たちの訴えに耳をかすこともなく、公園は2011年4月30日にリニューアルオープンしました。 
2011年4月21日、私たちは渋谷区を被告とする国賠訴訟を提起しました。それから4年、今年3月13日に下された東京地裁判決は、ナイキジャパン社と渋谷区の契約「宮下公園ネーミングライツ基本協定」は、区議会の議決を得ていない・一般競争入札の原則に反している点で地方自治法違反であるとする画期的なものでした。また、東京地裁は、強制排除された元宮下公園野宿者に対して渋谷区に11万円の賠償を命じました。
 渋谷区は東京高裁に控訴しましたが、9月17日に控訴は棄却され渋谷区は最高裁への上告をあきらめました。よって、10月1日、判決は確定しました。
現在の「みやしたこうえん」は違法な契約・手続きのもとに改修された違法な状態にある公園です。
この計画を立案し推進したのは、当時は区議だった長谷部健区長です。渋谷区及び長谷部区長は司法による判断を重く受け止め、公園の利用者に謝罪すべきです。また、地元の説得役だった伊藤毅区議もその責任は重いはずです。
公園リニューアル後から継続している公園の夜間閉鎖、広場への監視カメラなどを即刻取り止めるべきです。


●「新宮下公園」は公園ではありません
現在、渋谷区は「宮下公園等再整備事業」を準備しています。
昨年夏発表された同事業に応募したのは、東急と三井不動産でした。そのうち候補として選ばれたのは、新区庁舎を建設するなど前桑原区長との関係の深さを感じさせる三井不動産でした。計画案は、三階建ての商業施設を新築し屋上に新宮下公園をつくる・公園の原宿側には17階の高層ホテルを建てるという驚きの内容でした。
今年3月の都市環境委員会において同計画案は全会派一致で継続審議となり廃案に追い込まれました。立体都市公園制度の考えを基にしても公園敷地内に高層ホテルをつくるのは違法の可能性があります。渋谷区は再び違法を重ねるつもりなのでしょうか。
また、耐震補強を事業の理由にしていますが、ナイキジャパン社の公園改造時から耐震性に問題があることは分かっていました。整備したばかりの公園を全て壊して新築するのは計画性に著しく欠けた資源の無駄遣いです。スクラップ&ビルドという高度成長時代の発想が見え隠れしています。このような計画案が廃案になったのは当然です。
しかし、4月に桑原区長の後継者としてその職に就いた長谷部新区長は「内容を検討し、いずれあらためて、区議会に整備計画を提出するつもり」としています。現在、周辺の町内会役員などと調整中とのことです。これが実現してしまえば、ナイキ化計画についての真摯な反省もなされないままに、宮下公園は大企業の利益を生むための商業施設になってしまいます。
現在、渋谷で進められている大再開発では、今後、駅周辺だけで30階を超えるビルが4つ、その他のビルが4つ新築されます。全てが東急グループです。このような巨大再開発によって、利益を得るのは東急や三井不動産などの大企業だけで周辺の路面店にはマイナスの影響が懸念されます。事業名に入っている「等」という文字からは、駅頭と公園をデッキで連結するなどの含みをもたせた事業であることが伺えます。壁のようにそびえる商業ビルが駅周辺に作られ、そこからデッキで巨大商業施設が結ばれたら、周辺での小さい商店の経営は立ち行かなくなるのではないでしょうか?
宮下公園は、地域の人たちともつながり、また来街者が一息つき、貧困者であっても24時間誰もが利用できる無料の場所であるべきだと思います。
私たちは、違法である「みやしたこうえん」・公園とはいえない「宮下公園等再整備事業」に強く反対しています。

私たちの活動や地裁・高裁判決に関しては以下ブログを参照ください
http://minnanokouenn.blogspot.jp/
意見などは以下まで
minnanokouenn@gmail.com
                      2010年10月14日            
                      みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会
                                          
★付記
●宮下公園ナイキ化計画とは何か
2008年5月、ナイキジャパン社が区立宮下公園の命名権を年間1700万で買い取り、スケートパークなどを設置するという計画を地元ミニコミ誌がスッパ抜きました。私たちは、(1)公園の公共的な価値を奪う計画内容(2)民主主義的な手続きを無視したずさんなプロセス(3)野宿を強いられる人々の追い出しがグローバリゼーションに伴う再開発の典型であると考え、この計画に反対するために立ち上がりました。
渋谷区がこの計画に初めて触れたのが2009年6月11日の区長演説、1週間後の都市環境委員会では、議員すら知らないうちに選定委員会が開かれナイキジャパンが候補者として決定していたことが報告されました。そのナイキジャパン案は、公園内に大きな広告看板を建てる・イベントの事前確認と認否をナイキが決めるなどという不当なものでした。2009年8月27日、渋谷区とナイキジャパン社は基本協定書を締結し、ナイキジャパン社及び東急建設は9月から工事を始める予定でした。一方で、渋谷区が公園の野宿者の意向調査を始めたのは9月以降のことです。このことだけでも、いかに渋谷区が野宿者を軽視していたかが分かります。結局、渋谷区は宮下公園わきの緑道に小屋を自ら作り、そこに公園内の野宿者の多くを強引に移転させました。公園内にテントを設置し工事を阻止する人たちや野宿者やその支援を行う団体と協力しながら、私たちはこの計画に異を唱え続けました。しかし、2010年9月15日早朝、渋谷区は何の予告もなく宮下公園を全面閉鎖し、同年9月24日には行政代執行によりテントなど私たちの荷物を撤去してしまいました。全面閉鎖の当日、原告の一人である元宮下公園野宿者は、渋谷区の職員・ガードマンに担ぎ上げられ園外に追い出されケガを負いました。公園がリニューアルオープンした際にも、渋谷区は私たちに対して不当な身体検査を行いました。また、反原発のステッカーを貼ったなどとして逮捕された人が2名いました。基本協定書で「宮下NIKEパーク」と命名されていた宮下公園は、世論の批判を恐れたためか、平仮名で「みやしたこうえん」になりました。しかし、リニューアルオープン以来、宮下公園は夜間施錠や監視カメラの設置を行うなど異様な状態が続いています。      

2015年10月14日水曜日

宮下国賠勝利声明

【声明】
宮下公園ナイキ化反対! 国家賠償請求訴訟に勝利したぞ!
渋谷区は宮下公園をナイキ化以前の原状に帰し、原告など公園の利用者に謝罪しろ!
「新宮下公園計画」を白紙に戻せ!

●宮下公園ナイキ化計画とは何か
 渋谷区は、スポーツメーカー・ナイキジャパンに区立宮下公園のネーミングライツ(命名権)を売り渡す。ナイキジャパンは自費で宮下公園を改修、有料の施設を設け公園の利用者をふるいにかける。宮下公園はナイキジャパンの広告塔となり、当然にも野宿者、貧困者は公けの園から追い出される。渋谷区は、この計画を水面下で推し進める…。
 ナイキ化計画の存在が発覚したのは、2008年5月のことでした。その後、ナイキジャパンは宮下公園の改修などの総工費4億円を全額負担し、渋谷区にネーミングライツ料として年間1,700万円を支払う計画である旨、マスコミにより報じられました。もちろん私たちは、このナイキ化計画に繰り返し異議を唱えました。が、ナイキジャパン、渋谷区が、私たちの声に耳を傾けることはありませんでした。

●突然の全面閉鎖
 そして渋谷区は、2010年9月15日早朝、何の予告もなく宮下公園を全面閉鎖し、同年9月24日には、行政代執行によりテントなど私たちの私物を撤去してしまいました。全面閉鎖の当日、渋谷区の職員、警備員に園外に追い出され――それも、からだごと担ぎ上げられて!――ケガを負ったのが、原告の元宮下公園野宿者です。
 渋谷区とナイキジャパンが交わした協定書では、宮下公園は「宮下NIKEパーク」とネーミングされていました。しかし、渋谷区もナイキジャパンも世論の批判を恐れたのか、現在では、両者とも宮下公園を平仮名で「みやしたこうえん」と表記しています。

●強制退去もナイキ化計画も違法との判決を勝ち取る
 2011年4月20日、私たちは、東京地方裁判所に渋谷区を被告とする国家賠償請求訴訟を提起しました。それから4年、今年3月13日、判決が下されました。
 その内容は、
(1)渋谷区による元宮下公園野宿者への強制退去は違法 
(2)①渋谷区による元宮下公園野宿者への所有物の除却命令は違法 ②渋谷区が所有物の除却を命令するさいの、のじれん、守る会に対する弁明機会の付与通知の手続きは違法
 ナイキジャパンと渋谷区との契約自体においても、
(3)区議会の議決を経ていないので違法
(4)ナイキジャパンとの契約は一般競争入札の原則に反する随意契約でありこれも違法
 とする画期的なもの(他方で、行政代執行それ自体の違法性を認定しないなど不当な点も指摘できますが)。しかも東京地方裁判所は、まずナイキ化ありきという渋谷区の姿勢が(3)(4)を招き、(1)(2)を導いた、との私たちの主張を認めたといえるのです。東京地方裁判所は、渋谷区に対し元宮下公園野宿者への11万円の賠償を命じました。公園は一企業のものではなく、みんなのものだ! 私たちの訴えが、多少ではあれ汲み取られたと評価できます。
 案の定というべきか、敗訴を受け、3月26日、渋谷区は東京高等裁判所に控訴しました。が、9月17日、控訴は棄却され、原判決が維持されました。渋谷区は上告を断念、10月1日、私たちの勝訴が確定しました。
 現在、宮下公園は、違法な手続き・契約の下に改修された違法な状態にある公園である、といえます。今こそ渋谷区は、司法による判断を重く受け止め、元宮下公園野宿者を始めとする公園の利用者に謝罪して、宮下公園をナイキ化以前の原状に帰すことを決断するべきです。夜間の開放、監視カメラの撤去は当たり前、宮下公園の「再整備」などもってのほかです。

●「新宮下公園計画」を許すな
 このかん渋谷区は、宮下公園の「再整備計画」なるものを準備してきました。「宮下公園を現在の二階建てから三階建てのビルにし、運動施設はもちろん商業施設も設ける」「施設の屋上が『新宮下公園』となる」「なお、公園の原宿側には高層ホテルを建てる」「ナイキジャパンとの協議? それはこれから」!? 今年3月の渋谷区議会・都市環境委員会(現/区民環境委員会)の席で、緑と水・公園課から、こんな計画が練られていることが報告されました。これが実現してしまえば、宮下公園はもはや公園ではなくなってしまいます。
 しかし、渋谷区はさすがに、これはナイキ化計画を超える強引なものであると自覚したのか、一方で、東京地裁での敗訴にひるんだともいえるでしょう、再整備計画は廃案に追い込まれました。
 が、しかし、です。かつて宮下公園ナイキ化計画を区議会議員として推進し、去る4月、その職に就いた長谷部区長は「内容を検討し、いずれあらためて、区議会に整備計画を提出するつもり」としています。
 加えて渋谷区は、2020年オリンピック・パラリンピックの開催を控え、都市再開発を加速させて、野宿者などの「ジャマ者」を宮下公園はおろかあらゆる公園から追い出そうとしています。今、渋谷区が構想している「ホームレス対策」(「アイ リブ シブヤ・プロジェクト」と呼ばれているそうです)が、排除のための受け皿となってはなりません。
 一切の排除を許さない闘いをともに! 
                               (2015.10.13)

               宮下公園ナイキ化反対! 国賠訴訟原告団
                渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合(のじれん)
                みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会(守る会)
                宮下公園アーティスト・イン・レジデンス
                元宮下公園野宿者
                 東京都渋谷区東1―27―8(202号)
                 070(6511)0639
                  http://minnanokouenn.blogspot.jp/

2015年10月7日水曜日

長谷部健区長の9月7日付け回答に対して手紙を送りました


長谷部健渋谷区区長殿       
 
2015年10月5日

 2015年9月7日付けの区長回答を郵便にて落手しました。
回答には「渋谷区としましては、本件の協力・解決に向けた直接の話し合いの機会をこれまで何度も提案させていただいております」とあります。
 区長は誤解をされているようですが、私たち「守る会」は、区長から話し合いを提案されたことは一度もありません。当会について区長は正しく認識して下さい。
宮下公園の国家賠償請求裁判は、2015年3月13日地裁判決・9月17日高裁判決をへて、渋谷区が上告をせず、渋谷区の敗訴が確定しました。
 地裁判決は、渋谷区とナイキジャパン社との契約において、議会の議決を得ていないこと・一般競争入札が行われていないことが地方自治法違反、2012年9月15日公園封鎖時の野宿生活者に対する渋谷区の排除は法的根拠のない「直接強制」にあたり違法であること、により賠償金の支払いを命じ、高裁はそれらの論点に対する渋谷区の控訴を棄却しました。
 判決が確定した以上、「渋谷区立宮下公園ネーミングライツ基本協定」は法律違反です。「みやしたこうえん」をナイキ化以前の公園の状態に戻す努力をしてください。また、区長は私たちを含めた公園利用者に対して真摯な反省・謝罪を行ってください。

 区長からの9月7日付け回答では「質問1・2・3につきましては、現在訴訟中の内容を含むため回答を控えます」とあります。今回の訴訟は終わりましたので、2015年8月24日に提出した公開質問状への回答を下記住所までに文書にて改めて求めます。

回答期限 10月13日
回答先 みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会
〒150-0011 東京都渋谷区東1-27-8-202 のじれん事務所気付

みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会