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2026年5月1日金曜日

『ルポ 路上メシ』に抗議します。ご賛同をお願いします

2025年に双葉社から、國友公司著『ルポ 路上メシ』が出版されました。取材であることをかくして各地の炊き出しなどを訪れ、野宿者、生活困窮者から聞き出したプライベート情報などを暴露する内容の本です。私たちはこの本が、野宿者、生活困窮者への人権侵害であると考え、双葉社、國友氏に対して抗議します。抗議の内容については、本ブログ記事後半の抗議声明をお読みください。

抗議声明は、5月10日(日)までにご賛同いただいた団体、個人の方々の一覧とあわせて、双葉社に直接、提出する予定です。下記のフォームより、ぜひご賛同をお願いいたします。なお賛同者のお名前は、提出文書および本ブログ記事の両方に掲載、提出文書のみに掲載(他では非公開)、非公開のいずれかを選択できるようにしています。

賛同フォーム:
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeoS9To0hbhXKPiLpkSQXg9sNLZWDXwSm1T8lwlMQDvlc-y0w/viewform?usp=header

■ 『ルポ 路上メシ』への抗議声明

株式会社双葉社 代表取締役社長 梓沢雅治 様
株式会社双葉社 島野浩二 様
株式会社双葉社 週刊大衆編集部 御中
國友公司 様

ねる会議
賛同団体: 文末に記載

2025年11月22日、双葉社より、國友公司著『ルポ 路上メシ』(発行者 島野浩二)が出版されました。これは、『週刊大衆』(2024年5月25日号〜2025年9月22日、29日号)に連載されたものです。同書は、取材の手法と、内容の両面において、野宿者、生活困窮者を侮辱し、危険にさらすものであり、また事実関係においても多くの誤りを含みます。

私たち、野宿当事者および支援者からなる団体であるねる会議は、同書の出版について、出版元である双葉社、ならびに著者である國友公司氏に対して抗議します。

■ 問題点1: 対象者の同意なき取材と公開

國友氏は同書(『ルポ 路上メシ』、以下同様)において、前著『ルポ 路上生活』(2021, KADOKAWA)と同様、取材という目的を隠し、立場を偽って野宿者、生活困窮者に近づき、情報を集めています。これは、同書の記載(p. 118, p. 211, p. 291)でも示唆されています。また、國友氏に接触され、同書でプライベート情報を暴露された人たちへの、私たちの聞き取りでも裏づけられています。たとえばある人は、國友氏が、自身が生活保護を受けている、と虚偽の説明をしたのを聞いています。

このようにして近づいた人たちの親切心を利用して、話を聞き出すような取材手法は悪質です。炊き出しなどでの情報交換や助け合いは、野宿者、生活困窮者が、不安定な状況で生活するために不可欠なものです。同書のような取材は、そのネットワークをこわすことにつながります。

同書には、野宿にいたる経緯、生活保護利用の状況、病歴、職歴など多岐にわたるプライベート情報が記載されています。寝場所、風貌、年齢などから人物が特定されうる描写もあります。その一方で、誤った内容も含んでいます。このようなことを本人の同意なく書きたて、出版するのは、重大な人権侵害です。

なお、國友氏は自分の情報収集を「潜入取材」(p. 303)と位置づけようとしています。しかし、同書の対象は、野宿者、生活困窮者など、社会的に力が弱いとされる人たちです。権力の内部に入り込んで内実を明らかにするという、一般的な意味での潜入取材にはあてはまりません。

■ 問題点2: 野宿者の寝場所を危険にさらす記述

同書は、野宿者の現在の寝場所を詳細に記しています。その中には、人目につかないように就寝している場所すらあります。寝場所を公開することで、野宿者への暴力や放火などの「襲撃」をまねくおそれがあります。本書の記述は野宿者の生活と生命を脅かす、著しく配慮に欠けたものです。

■ 問題点3: 支援すること/受けることをおびやかす行為

國友氏は、知り合った人から話を聞き出すだけでなく、支援団体による野宿者の訪問活動を尾行し、それによって特定した寝場所を具体的に書いています(p. 129, p. 134, pp. 150-151)。寝場所を公開することの危険性は前節で述べたとおりです。

居場所、寝場所を訪問する活動は、個人の生活領域に入りこむため、慎重に行う必要があるデリケートなものです。國友氏の行動、および同書の記述は、こうした支援活動に求められる信頼性、安全性を損ない、また、支援を受けることを危険にさらしています。

また、同書は炊き出しの日時や場所などの詳細を、私たちが確認した限りでも複数の活動について、主催者の同意なく書いています。これは、野宿者、生活困窮者の食事の場所を好奇の目にさらし、安心できない場にするものです。くわえて主催団体にとっても、周辺住民との関係や、活動のキャパシティなど、微妙なバランスの中で成立している活動の継続を難しくするものです。

■ 問題点4: 野宿者、生活困窮者に対する侮辱

同書は全体として、野宿者、生活困窮者を奇異な観察対象として取り上げて、揶揄、冷笑する視点から書かれています。その姿勢は、たとえば、次のような表現に示されています。

「長年の習慣で体の調整機能すら進化してしまっているのかもしれない。もはや爬虫類である」(p. 22)

(「人に何かをしてもらったらお返しをしないと気が済まない」という人について)「捕まえたネズミでも渡されたりしても困る」(p. 98)

「聞いているだけで頭が悪くなりそう」(p. 333)

國友氏の接触を受けた何人もの人が、このような記述にふれてショックを受けています。また、異議申し立てをすることが困難な人を揶揄の対象にすることは卑劣であり、それを娯楽的な読み物として商業出版し、利益を得ることは搾取的です。

このような侮蔑的な視線と描写に満ちた本書の出版は、本の中に書かれている人たちだけでなく、野宿者、生活困窮者一般に対する差別を助長するものであり、断じて許せません。


私たちは、上記の問題点を含む同書を出版した双葉社と國友公司氏に強く抗議します。

■ 賛同団体(5月1日時点)

(五十音順)
• 釜ヶ崎センター開放行動
• 釜ヶ崎公民権運動
• 月曜夜回りの会
• 寿日雇労働者組合
• ささしま共生会
• スープの会
• 住まいの貧困に取り組むネットワーク
• 特定非営利活動法人TENOHASI
• 反貧困ネットワーク
• ミニミニ(聖公会野宿者支援活動・渋谷)
• 夜まわり三鷹

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