https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/toshi_saisei/saisei02_01.html
( ページ下部よりリンク)
予定より1ヶ月ほど遅れて、都区が募集要項を発表しました。
①
別紙6「美竹公園の整備に関する条件書」によれば、
・ベンチは寝そべられないようデザインに配慮してください
とあります。
中央部に手すりや動物などのオブジェを設置したり、バイブ状で幅が狭かったりするベンチを事業者に求めています。これは、野宿者を滞留させないための「排除ベンチ」といわれるものです。昨今の公園では「排除ベンチ」への作り替えが進んでいますが、美竹公園の再整備は、はじめから、野宿者排除を公園設計に組み込もうとしています。
その一方で、「条件書」には、
・ 公園に集う様々な利用者が安全に楽しむことができることはもとより、「ちがい」を自然と理解し合える工夫や配慮がなされているようなインクルーシブ(※)な公園の整備 としてください。
※「ソーシャル・インクルージョン」(社会的包摂)という言葉からきており、「あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないよう援護し、社会の構成員として包み、支え合う」という社会政策の理念
という文言があります。公園整備の条件として、ベンチのデザインの「配慮」を同時に記載することは、渋谷区(および都)が強調している社会的包摂は野宿者を含まない不公正なものにすぎないことを自ずから明らかにしています。
②
同じく別紙6によれば、
・公園の整備方針に資するものであれば、都市公園法第2条第2項に定める公園施設を提案することが可能です。ただし、渋谷区の負担対象とならない施設は、事業者の負担により整備及び管理運営をしていただきます。この場合、当該施設は整備後も渋谷区へ寄付せず、事業者の所有になり~~
都市公園法第2条第2項には便益施設(売店、カフェなど)が含まれます。それらの施設を事業者が管理運営できると書いています。公園施設は通常は公園敷地面積の2%以下となっていますが、様々な規制緩和の手法があるようです。
渋谷区立北谷公園では、2017年の法改正によるPARK-PFI制度を利用して、今年4月にカフェを設置しています。まるで、公園がカフェの前庭のようです。この制度を利用すれば、敷地面積の10%まで建物建設が認められます(北谷公園整備運営事業の指針では12%になっている)。
北谷公園の面積は960㎡のところ、カフェの建築面積は182㎡で約19%のため、他の規制緩和も利用しているかもしれませんし、建物と一体の大屋根エリアは建物面積に含まないという抜け道があるのかもしれません。
いずれにしろ、美竹公園内にも商業施設がつくられる可能性が高くあります。
③
美竹公園の地下に多目的ホールなどをつくることを実施方針・募集要項は事業者に求めています。しかし、同事業の他の敷地である、児童会館は地下2階(現在も遺構が残っているはずです)、第二美竹分庁舎も地下に渋谷小学校の体育館がそのままに残っています。仮に多目的ホールを地下につくる必要があるとしても、これらを利用する方が無駄がありません。
なぜ、美竹公園の地下に施設をつくるという、緑を伐採し、長期に公園が利用できない方針なのでしょうか?
美竹公園の面積は約2803㎡で、事業敷地(9670㎡)の約30%を占めています。同事業の事業敷地に対する建ぺい率は60%。そのため、美竹公園との境界ぎりぎりまで建物を建てることが出来ます。美竹公園が事業用地に含まれなければ、建物の容積はだいぶ小さくなります。
同事業を担当する渋谷区まちづくり課の課長は「事業を成り立たせるために事業用地を大きくする必要があった」と発言しました。つまり、事業(大企業)のために、公園を犠牲にするということです。
美竹公園は立体都市公園制度を適用することになっています。立体的な範囲において公園を設定して、範囲外(公園の地下など)について、私権の設定などを制限する法の規定から外す制度です。同制度は、「都心部等地価の高い地域において、緑地空間を確保するため」(都市公園法運用指針)に創設されたものです。建物の容積を増やすために、隣接する公園(の地下)を事業用地にするのは、同制度の想定外であり悪用でしょう。
渋谷区は脱法的な土地活用が得意なようです。宮下公園では、既存公園では地下利用が原則の立体都市公園制度を悪用し、地上5階相当の高さにつくりました。新庁舎では、一体的に利用しているわけでもない神南小学校を事業敷地に入れて容積率の移転を可能にしました(当選案の三井不動産などは、違う手法によって、民間タワーマンションを建てたようですが)。
募集要項からは同計画が公共地の価値の軽視・大企業利益の優先であり、美竹公園においても、野宿者排除・商業化という方向のものであることが分かります。
今後、12月15日・16日に提案書受付、その後審査委員会による審査、来年3月に事業者の決定予定です。
審査委員は、市川宏雄(明治大学名誉教授)、秋田喜代美(学習院大学教育学部教授)、安藤算浩(公認会計士、監査法人ナカチ代表)、石田恵美(bacell法律会計事務所代表)、河端瑞貴(慶應義塾大学経済学部教授)、坂井文(東京都市大学都市生活学部教授)、中井祐(東京大学社会基盤学科教授)
私たちは、野宿者排除・炊き出しつぶしの同計画を許しません。
〈担当部局〉
抗議・要望・質問先
東京都都市整備局市街地整備部企画課 0353205118(内線31-259)山木課長など
渋谷区都市整備部まちづくり第3課 0334632628中島主査など
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