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2017年8月26日土曜日

渋谷区、真っ黒な疑惑



新)宮下公園等整備事業について、三井不動産と東急電鉄は、2014年10月16日と2015年2月3日に提案書をそれぞれ2回ずつ渋谷区に提出している。それらの提案書をもとに、検討委員会が事業者として三井不動産を決定したことになっている。つまり、今回の計画の大もとが提案書である。4月27日、提案書を情報公開請求したら、7月10日まで約2ヶ月半も待たされたあげく(通常2週間で公開)、出てきたものは全面ほぼ黒塗りであった。公開が延長されていた理由は「第三者の意見聴取に時間を要するため」であり、黒塗りには三井不動産の意向が強く働いていると思われる。提案書を見せないというのは、渋谷区と三井不動産は、公園づくりという公共工事の内容を市民に公開するつもりがないと宣言しているに等しい。
非公開の理由の大部分は、「事業者独自の手法」「創意・工夫による技術情報」に関する記載が「当該法人の競争上の利益を侵害するおそれがある」ことである。しかし、提案書は特殊な専門技術について記したものではなく、そもそ独自の手法や創意工夫については、広く知らせ市民の意見や判断を仰ぐべきものだ。市民不在、企業優先の現れであり、非公開の理由として不当である。
さらに不思議なことがある。新宮下公園に先行する形で、同じように定期借地権を設定している新庁舎建設工事については、5つの事業者全部の提案書がほぼ完全に情報公開されたことである。それには、事業者として選定された三井不動産グループも含まれている。

一体、なぜ、これほどまでに新宮下公園の情報は隠したいのだろうか?

この真っ黒な提案書について、8月14日渋谷区長に対して処分が不服として審査請求を行った。しかし、審査案件がたまっていて裁定が下るまでに1年近くかかるとの話。実状に即した審査の態勢を作っていただきたい。

以下、審査請求に付した「理由」である。
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審査請求の理由

1、宮下公園等整備事業(以下、新宮下事業)は公共事業である
新宮下事業は、渋谷区が公募し、渋谷区の責任で、区立の公共公園を整備するものである。
渋谷区と三井不動産の新宮下事業に対する基本協定書においても、「事業者は、本事業が公共性及び公益性を有することを十分理解して実施する(第5条)」と明記している。
新宮下事業の基本的な情報である宮下公園整備事業提案書のほとんどを非開示とすることは、渋谷区情報公開条例における「区民の知る権利」「区が区政に関し区民に説明する責務」の不当な侵害であることは明白である。
東急急行電鉄の提案書も、三井不動産の提案書と比較検討がおこなえるようにすべきであり同様である。

2、非開示部分を公開することが法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められない

新宮下事業提案書に基づく事業者の選定は、2015年2月に終わっている。提案企業であった三井不動産は、渋谷区と基本協定・定期借地権契約を結び、すでに新宮下事業は開始されている。選定過程での情報開示において、他の事業者に対する情報漏洩その他の不利益がありえたとしても、現在、そのようなことは想定できない。
また、提案にあたっては、事業者の技術や工夫が示されるのは当然であり、公共性を鑑みれば、それらは区民や利用者に対して積極的に開示されるべき内容である
東急急行電鉄提案書も同様である。

3、渋谷区の新総合庁舎及び新公会堂の事業(以下、新庁舎事業)の提案書内容は、ほぼ開示されている

同時期に開示請求を行った新庁舎事業提案書は、5事業者とも、ほぼすべての内容が開示されている。
非開示部分は、わずかに「個人の写真の一部(顔部分)」だけである。
新庁舎事業は、プロポーザル方式によって渋谷区が事業者を選定し定期借地権を設定するなど、新宮下事業と似通った内容を持っている。
渋谷区と契約したのも、三井不動産を筆頭にする三井不動産グループであった。
新庁舎事業提案書の内容は、事業計画提案書・計画概要図・完成予想図・整備スケジュール・資金・収支計画提案書となっている。
新庁舎事業提案書は公開し、一方の新宮下事業提案書を非公開とする合理的な理由はなく不当である。

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