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2010年7月16日金曜日

ナイキの地域貢献、社会貢献って???


ナイキ主催の工事説明会にすら、姿を見せなかったナイキジャパン社も、マスコミ相手ならば、コメントを出すらしい。

産経ニュース(2010・7・11)では、「スポーツを身近に感じて、親しめるような環境を整えることで公園を活性化させ、地域に貢献したいと考えているのですが…」。少し古いが、東京新聞(2010・3・26)では、「都会でも気軽にスポーツを楽しんでいただけるよう、社会貢献として渋谷区に提案した。」

しかし、上の写真を見ていただきたい。

これは、2008年2月にナイキジャパンから渋谷区に示された提案書に添付された宮下公園の想定図である。(制作は、アトリエワンとナイキジャパン)
明治通りから公園に向かう大階段のあたりの図である。いわば、宮下公園の表玄関というべきところに、巨大なナイキの広告が飾られている。(10m×10m以上が3面)。しかも、この現在の管理事務所を建て直したコミュニティスペースの2F部分の内部は、「NIKEイベントスペース」と称して、占有させてくれという、とんでもない提案をしている。
都市公園条例でも、「広告の表示」は禁止されているのに、そんな基本的なことさえまるで無視している。(注1)


さらに驚くべき提案内容が上だ。

「弊社に対し、他者の実施するイベントに対する内容の事前確認と承認・否認の権利をいただけますと幸いです。」

公園で行うイベントについての拒否権をナイキにください、、、公園でのイベントや集会の内容まで、采配させてくれ、と書いている。いかに、ナイキが、公園の公共性に鈍感で、公園をナイキ専用の広告スペースにすることに貪欲かを示している。

また、ネーミングライツ選定委員会(2008年2月25日)の簡易な議事録には、これまた驚くべき提案の一端が記されている。

副区長「~ナイキは200日位優先的使用を無償で事業実施したいと提案している。」

年に200日!。なんじゃそりゃ。無償で事業実施って、まるで有り難いことでもあるかのような言い方だけど、ナイキの好き勝手を意味するだけだ。続けてさすがに、「10日が限度。区の条件で今後の交渉になる。」と副区長。大上段からの傲慢な提案に苦慮する区の姿も同時に浮かび上がっている。(注2)

2009年8月27日のネーミングライツ基本協定書の中には、イベントの拒否権などの文言は見られないので、確認はされていないものの、さすがに非見識な提案は一蹴されたものと信じたいが、その協定書の中での地域貢献の扱われ方にも多大な疑問がある。

(地域貢献の内容)
甲(渋谷区)は、協定期間中、乙(ナイキジャパン社)の地域貢献として、乙に、本公園の公園施設を使用した地域活動を義務づけるものとする。

文言としては、渋谷区がナイキに義務づける、と優位に立っているかのようだ。しかし、形だけ、渋谷区の要請とすれば、ナイキジャパンは、公園施設を好きに使えるし、おそらく使うだろう。つまりは、上記の「ナイキの優先的事業実施」を単に言い換えたものが、地域貢献のお粗末な内容というわけである。

(注1)渋谷区都市環境委員会(2009年6月18日)でも話題になっている。森治樹議員の広告について質問に対して、宮崎博管理課長が「基本的に公園は禁止区域」と答弁している。よって、ナイキ提案のような広告塔が公園内に設置される可能性は低いと思うが、この想定図は、ナイキジャパンの公園に対する姿勢が露骨に表している。付言すれば、そもそも公園名が広告になること自体が、問題であり、条例の精神にも反することだろう。

(注2)そもそも、なぜ、このような無茶な提案をする企業が選考されるのか。その理由は、この計画の形ばかりの粉飾を取り除いて経緯をみれば、はっきりする。それについては改めて書きたい。

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