産労局に続いて、東京都の特別定額給付金の担当者を電話で呼び出した。
出てきたのは、東京都総務局行政部振興企画課特別給付金担当、(写真、右から)カンダ、課長タケウチ、キラ。給付金担当の職員はこの3人以外にもいるとのことだった。
今回の定額給付金は、国が制度を作り、具体的な事務を実行するのは市区町村。市区町村に支給の方法など的確に知らせ、円滑に事業が進むよう支援するのが東京都の位置づけであると最初に説明された。
1. 4月28日総務省通知を踏襲するだけの東京都総務局
さっそく、本題に入った。
Q. 特別定額給付金はすべての人に支払われると政府は言うが、本当に我々野宿者に1人残らずきちんと支払われるのか。どういう仕組みを考えているのか。説明いただきたい。
A. 現在、総務省のほうからホームレスの皆さまにも支出できるよう通知が出ている。区市町村にも提供している。概略でいうと、原則的にはお住まいになっている市区町村に住民登録をしていただくことを求めている。皆様にもぜひそのように対応していただきたい。
野宿者への給付について、住民登録を前提とする4月28日総務省通知(事務連絡) (https://www.soumu.go.jp/main_content/000685824.pdf)の内容を踏襲するだけの回答。当然、納得がいくものではない。
参加者からは、コロナ情勢下、いかに野宿者が困窮を強いられているか現状を訴えるとともに、野宿者が今いる場所で給付を受けられるように考えてほしい。住民登録という段階で制度からはねられてしまう人が出てくる。これは、すべての人に行きわたらせるという国の方針と異なるのではないか。と、次々に声があがった。
これに対しタケウチ氏は「あくまでも制度設計は国で、具体的な手続きは市区町村である」「住民登録をお願いしたい」「ご要望については共有させていただく」と繰り返した。
では、いま野宿している場所で住民登録できないのかという声に対しても「住民登録できるかどうかは区市町村の判断」「区市町村に問い合わせてほしい」と、通り一遍の内容を呪文のように唱えることに終始した。
このようなやり方で全員にいきわたるという認識をもっているのか、という追及に対しては「全員に一律10万円という制度設計がされているのでいきわたると考えている。
国が示している要件(=住民登録していること)に合致する方々であればいきわたる」と答えた。しかし、すべての人にいきわたるということと、要件に合致する人のみいきわたるということはまったく意味が違ってくる。
当然、住民登録できない人、要件に合致しない人が出てくる。しかもその人たちは最も困窮している。どうやって対応するか考えるのが行政の責務ではないのか。
この追及に対しても、東京都は明確な回答を行うことはなかった。
(制度設計は国ですから~、現場の判断は市区町村ですから~、としか言わないなら、東京都としての主体性や職責はどこにあるのか?と感じさせる一部始終でした)
2. 一転、「住んでいる場所の認定で支給はできる」という発言へ
ここで、4月27日、ねる会議などが総務省と交渉を行い、特別定額給付金室主査のフクダ氏が「住民登録をしていない所でも、ない方でも、給付を受けられるようにする」と述べたこと(https://minnanokouenn.blogspot.com/2020/04/)を伝えた。
すると、タケウチ氏はフクダ氏とは面識なく、この話は今聞いた以上のことは知らないとしつつも、
「住所の確認については、そこに住んでいることが確認されれば支給はできるということは国の方からは説明では聞いている。」
Q. そこに住んでいることが確認できれば10万円の支給できるということか?
「そのように聞いている。最終的な判断は区市町村だとも聞いている。」
Q. 例えば自分はテントに住んでいる。テントに住んでいることが確認できれば10万円支給できると国から聞いている、という理解でいいのか?
「あくまでもいま住んでいる区市町村にまずは問い合わせていただくということがあろうかと思う。その上で、原則的には住民登録をということになろうかと思うが、区市町村に最終的な権限があるので、住民登録以前の問題になるケースもあるかもしれないが、今いるところを住んでいる場所として認定してもらうということが要件の一つになるということは国から聞いている。」
Q. どのような確認の仕方をするのかは聞いていないのか
「細かい手続きの部分は掌握していない。まず、いま住んでいる区市町村にご相談いただければということは間違いない。」
という回答を行った。住民登録ではなく、今いる場所を住んでいる場所として認定し給付するというのは新たな、そして重要な見解だ。
3. 今いる場所の認定または住民登録にあたって東京都は介入するのか
もし、いま住んでいる場所で認定してほしいと区市町村に申し出た場合、区市町村は「こういうケースが来ているけれどどうしたらよいのか」と都に問い合わせてくる可能性がある。例えば、都道、都立公園、河川敷など都の管理地で野宿している人もたくさんいる。このとき、都としてはどう対応するつもりなのか。
都は個別のケースについては答えられない、最終的な判断権者は市区町村である、東京都が市区町村に指導監督権があるわけではない、として明言を避けた。
この質問が出た背景には、日常的に野宿者が公共地の管理者から「いてはいけないところにいる」と存在を否定され排除されてきた現実がある。東京都は「最終的な判断は区市町村。(口をはさむようなことは)しません。」としながらも、「ただ、場所の管理者という立場で言っているわけではない」と含みを残した。
私たちの心配はぬぐえず、東京都として一定の見解は示してほしいと求めたが、「ご要望は承ります」と述べるにとどまった。
4. 給付から漏れる人が出ないよう強く申し入れ、要望書を手交
私たちは、給付金の支給にあたって、住民登録を基準にしたら漏れてしまう人が必ず出て行きわたらないということを、様々な例を上げながら、繰り返し強く申し入れた。
特に、要望書10に挙げている〈a.世帯主とアクセスできない人、b.住民登録している人が遠隔であったり不明であったりする人、c.いずれの市区町村にも住民登録がない人〉は4月28日総務省通達では給付に支障が生じることを読み上げながら訴えた。
また、東京都と国、市区町村の連携もしっかり行ってもらわなければ困る。東京都として手続きにおける統一的な見解を示さないと、市区町村で差異が生じてしまうし、制度から漏れてしまった人が相談できる窓口も必要だ。
ねる会議は渋谷区役所にも総務省にも交渉に行っていて、4月27日、渋谷区はねる会議が要望した内容について「東京都を通じて総務省にあげる」と言っていたのに、東京都、少なくとも臨席した3名は渋谷区から何も聞いていなかったことがこの場で発覚した。
この件については、東京都から渋谷区に問いただすよう約束させた。
最後に、東京都へ要望書をしっかりと手渡し、この日の交渉を終えた。
出てきたのは、東京都総務局行政部振興企画課特別給付金担当、(写真、右から)カンダ、課長タケウチ、キラ。給付金担当の職員はこの3人以外にもいるとのことだった。
今回の定額給付金は、国が制度を作り、具体的な事務を実行するのは市区町村。市区町村に支給の方法など的確に知らせ、円滑に事業が進むよう支援するのが東京都の位置づけであると最初に説明された。
1. 4月28日総務省通知を踏襲するだけの東京都総務局
さっそく、本題に入った。
Q. 特別定額給付金はすべての人に支払われると政府は言うが、本当に我々野宿者に1人残らずきちんと支払われるのか。どういう仕組みを考えているのか。説明いただきたい。
A. 現在、総務省のほうからホームレスの皆さまにも支出できるよう通知が出ている。区市町村にも提供している。概略でいうと、原則的にはお住まいになっている市区町村に住民登録をしていただくことを求めている。皆様にもぜひそのように対応していただきたい。
野宿者への給付について、住民登録を前提とする4月28日総務省通知(事務連絡) (https://www.soumu.go.jp/main_content/000685824.pdf)の内容を踏襲するだけの回答。当然、納得がいくものではない。
参加者からは、コロナ情勢下、いかに野宿者が困窮を強いられているか現状を訴えるとともに、野宿者が今いる場所で給付を受けられるように考えてほしい。住民登録という段階で制度からはねられてしまう人が出てくる。これは、すべての人に行きわたらせるという国の方針と異なるのではないか。と、次々に声があがった。
これに対しタケウチ氏は「あくまでも制度設計は国で、具体的な手続きは市区町村である」「住民登録をお願いしたい」「ご要望については共有させていただく」と繰り返した。
では、いま野宿している場所で住民登録できないのかという声に対しても「住民登録できるかどうかは区市町村の判断」「区市町村に問い合わせてほしい」と、通り一遍の内容を呪文のように唱えることに終始した。
このようなやり方で全員にいきわたるという認識をもっているのか、という追及に対しては「全員に一律10万円という制度設計がされているのでいきわたると考えている。
国が示している要件(=住民登録していること)に合致する方々であればいきわたる」と答えた。しかし、すべての人にいきわたるということと、要件に合致する人のみいきわたるということはまったく意味が違ってくる。
当然、住民登録できない人、要件に合致しない人が出てくる。しかもその人たちは最も困窮している。どうやって対応するか考えるのが行政の責務ではないのか。
この追及に対しても、東京都は明確な回答を行うことはなかった。
(制度設計は国ですから~、現場の判断は市区町村ですから~、としか言わないなら、東京都としての主体性や職責はどこにあるのか?と感じさせる一部始終でした)
2. 一転、「住んでいる場所の認定で支給はできる」という発言へ
ここで、4月27日、ねる会議などが総務省と交渉を行い、特別定額給付金室主査のフクダ氏が「住民登録をしていない所でも、ない方でも、給付を受けられるようにする」と述べたこと(https://minnanokouenn.blogspot.com/2020/04/)を伝えた。
すると、タケウチ氏はフクダ氏とは面識なく、この話は今聞いた以上のことは知らないとしつつも、
「住所の確認については、そこに住んでいることが確認されれば支給はできるということは国の方からは説明では聞いている。」
Q. そこに住んでいることが確認できれば10万円の支給できるということか?
「そのように聞いている。最終的な判断は区市町村だとも聞いている。」
Q. 例えば自分はテントに住んでいる。テントに住んでいることが確認できれば10万円支給できると国から聞いている、という理解でいいのか?
「あくまでもいま住んでいる区市町村にまずは問い合わせていただくということがあろうかと思う。その上で、原則的には住民登録をということになろうかと思うが、区市町村に最終的な権限があるので、住民登録以前の問題になるケースもあるかもしれないが、今いるところを住んでいる場所として認定してもらうということが要件の一つになるということは国から聞いている。」
Q. どのような確認の仕方をするのかは聞いていないのか
「細かい手続きの部分は掌握していない。まず、いま住んでいる区市町村にご相談いただければということは間違いない。」
という回答を行った。住民登録ではなく、今いる場所を住んでいる場所として認定し給付するというのは新たな、そして重要な見解だ。
3. 今いる場所の認定または住民登録にあたって東京都は介入するのか
もし、いま住んでいる場所で認定してほしいと区市町村に申し出た場合、区市町村は「こういうケースが来ているけれどどうしたらよいのか」と都に問い合わせてくる可能性がある。例えば、都道、都立公園、河川敷など都の管理地で野宿している人もたくさんいる。このとき、都としてはどう対応するつもりなのか。
都は個別のケースについては答えられない、最終的な判断権者は市区町村である、東京都が市区町村に指導監督権があるわけではない、として明言を避けた。
この質問が出た背景には、日常的に野宿者が公共地の管理者から「いてはいけないところにいる」と存在を否定され排除されてきた現実がある。東京都は「最終的な判断は区市町村。(口をはさむようなことは)しません。」としながらも、「ただ、場所の管理者という立場で言っているわけではない」と含みを残した。
私たちの心配はぬぐえず、東京都として一定の見解は示してほしいと求めたが、「ご要望は承ります」と述べるにとどまった。
4. 給付から漏れる人が出ないよう強く申し入れ、要望書を手交
私たちは、給付金の支給にあたって、住民登録を基準にしたら漏れてしまう人が必ず出て行きわたらないということを、様々な例を上げながら、繰り返し強く申し入れた。
特に、要望書10に挙げている〈a.世帯主とアクセスできない人、b.住民登録している人が遠隔であったり不明であったりする人、c.いずれの市区町村にも住民登録がない人〉は4月28日総務省通達では給付に支障が生じることを読み上げながら訴えた。
また、東京都と国、市区町村の連携もしっかり行ってもらわなければ困る。東京都として手続きにおける統一的な見解を示さないと、市区町村で差異が生じてしまうし、制度から漏れてしまった人が相談できる窓口も必要だ。
ねる会議は渋谷区役所にも総務省にも交渉に行っていて、4月27日、渋谷区はねる会議が要望した内容について「東京都を通じて総務省にあげる」と言っていたのに、東京都、少なくとも臨席した3名は渋谷区から何も聞いていなかったことがこの場で発覚した。
この件については、東京都から渋谷区に問いただすよう約束させた。
最後に、東京都へ要望書をしっかりと手渡し、この日の交渉を終えた。
1 件のコメント:
他の誰も代わりはいません。という言葉に胸がいっぱいになりました。
コメントを投稿