2017年12月5日火曜日

11月27日デモと渋谷区交渉の報告

 
前回のエントリー(http://minnanokouenn.blogspot.jp/2017/11/blog-post_22.html)でお知らせした通り、去る11月27日、「野宿者をなめるな!生きる力を奪うな! さくらグリーンハウス殺人事件を許さない 渋谷区抗議デモ」を行いました。主催、「宮下公園ねる会議」、共催、「ノラ」、「のじれん」。8月に貧困ビジネスを生業とする「NPO法人さくら福祉推進協会」が運営する無料低額宿泊所である「さくらグリーンハウス市川」に入所していた女性が施設長に虐殺された事件を契機として、劣悪な福祉の現状とそのような「福祉」が野宿者排除の手段となっていることに抗議する趣旨です。東京の渋谷で行いました。
 参加者は約30〜40名。野宿者や関係者が集まりました。山谷や労組などからもかけつけてくださいました。上記趣旨の確認と共に、行政に抗議する中であっても差別的言動はいけないこと。参加者同士でも嫌な思いしたら話し合い嫌だと言える場にしようということ。デモといえば警察による妨害が当然のようになっているけど、特定の誰かが抗議するのではなく、警察が押したり触ってきたり盗撮したらなるべくみんなで抗議しようということを確認してから出発しました。
 渋谷の街をねり歩きながら、次のようなコールをあげました。

劣悪施設へ送るな渋谷区
貧困ビジネス使うな渋谷区
劣悪施設へ送るな渋谷区
貧困ビジネス使うな渋谷区

工事で野宿者追い出すな
オリンピックで追い出すな
公園しめるな!公園解放
区庁舎軒下(のきした)開けろ

ビンボー人を 殺(こ・ろ)・す・な
野宿者襲撃 止・め・ろ
女性野宿者 狙(ね・ら)う・な
生きる力を う・ば・う・な

野宿の生活、貧困者の権利
野宿者たちは、つながり生きる
野宿者なめるな みんなで野宿
野宿者なめるな みんなでごはん



 交代交代にコールをして、NPOさくらが運営する別の施設で暴言などに愕然として逃げ出してきた人も声をあげました。案のじょう、途中で警察の妨害も入りましたが、みんなで抗議しました。残念ながら盗撮された写真を削除させるにはいたりませんでした。
 デモコース最後は渋谷区庁舎を一周。長谷部健区長執務室に聞こえるように声を張り上げました。


 デモ後はお茶を飲んで休憩してから区議会本会議傍聴へ。区長演説直後にみんなで一斉に声をはりあげて貧困者・野宿者への人権侵害に抗議しました。
 その後、メシ。山盛りのわかめご飯に佃煮、味噌汁というメニューでした。
 それで力をたくわえて渋谷区生活福祉課に集団抗議。区議会で課長不在のため、職員2名と談判。NPOさくら運営施設から逃げてきた人が直に体験したことを話した他、別の方から伺ったさくら運営施設の惨状を伝えました。本来なら、そうした施設に貧困者を送り込んでいる区職員があらかじめ把握しておくべき問題ですが、職員らはあたかも他人事のような態度。
 8月の虐殺を受けて、NPOさくら運営施設に新たに貧困者を送り込んではいないとのことでしたが、終始あいまいな説明のため、あまり説得力はありませんでした。
 その他、生活保護は「居宅保護」(アパート賃貸)が原則だろうということを言いましたが、渋谷区だと物件がなかなかないなどと釈明。それなら公営住宅の拡充をと言うと、いま倍率がすごいといったこれまた他人事トーク。とりあえず申入書(下記)を渡し、次の面談を約束させて離れました。

 この時点で既に私たちは疲れちゃってましたが、区議会傍聴で区長に対して同申入書を渡しますよーと言っていたこともあり、今度は総務課へ。申入書を渡すと共に、以前の質問書に加えて口頭で質問し、区長にも伝えるという言質をとりつけていた件につき、回答書に記載がないことなどについて斉藤課長らに問いただしました。斉藤さんは、回答書を渡したのだから、回答したんだなどと意味不明な説明。人の生存がかかっている問題に対する不誠実さに怒りを新たにしました。これでは埒があかないので、下記申入書にもある通り、改めて、区長との面会を要求しました。
 区庁舎を一旦あとにして、お茶しながら集約。みな、区の不誠実な態度に怒っていました。また、「宮下公園ねる会議」呼びかけの過去の行動において実際に他の参加者から嫌な思いをさせられたことがあるという報告も参加者からありました。
 最後に、残った有志で公園課へ。吉武課長らに、質問書への回答が遅れていることなどについて質問しました。ある公園の夜間施錠が早くなったことについて問うと、地元町会の要望によるとのこと。しかし、吉武さんが町会を訪問していたことも判明し、むしろ順序が逆で、区が町会に要望するよう要望したのではないかと聞いても、記憶がさだかではないとのことでした。
 施錠は公園内で喫茶施設を運営しているNPOが「ボランティア」(!?)で行なっているとのこと。では、施錠者に管理権はないんだね、との質問に、「そうです」と答えました。
 今回は、8月の女性貧困者虐殺事件を受けて、「福祉」の名の下に貧困ビジネスがのさばり、野宿者排除の道具ともなっていることへの怒りをまずは私たちが活動する渋谷から発信しようという提起による行動でした。これで終わりにせず、福祉の実質化させることと共に、野宿者・貧困者の尊厳を踏みにじらせないよう、広く行動を呼びかけます。


(申入書)
渋谷区長殿
渋谷区福祉部長殿
抗議並びに申し入れ書
今年8月28日、無料低額宿泊所「さくらグリーンハウス市川」に入所していたKさんが、所長に暴行され亡くなりました。
このさくらグリーンハウスを設置しているのは、「貧困ビジネス」をその生業とする「NPO法人・さくら福祉推進協会」。同NPOが開設した宿泊所では、これまでも様々な問題が生じています。今年4月に貴区福祉事務所から「さくら滝山ハウス」に送り込まれたある方は、同NPOの職員に「思い出したくもない暴言」を浴びせられ、生活保護費のほとんどを差し引く同NPOのやり口にがく然として、身ひとつで宿泊所から逃げ出してきたほどです。
貧困ビジネスをのさばらせるな! 都の「宿泊所設置運営指導指針」すら反故にする事業者を使うな! 今まで私たちは、貴区に対し何度もこう訴えてきました。今年3月1日、さいたま地方裁判所が「貧困ビジネスは違法」と断じたこと、この判決を受けるかたちで5月、国も重い腰を上げ無料低額宿泊所への規制を強める方針を固めたことも、すでにお伝えした通りです。が、貴区は依然として貧困ビジネスに依存しこれを増長させています。私たちは、貴区のこの姿勢に断固抗議するとともに、「さくらグリーンハウス事件」を踏まえあらためて以下申し入れます。
1.NPO法人・さくら福祉推進協会が運営している事業は、違法な貧困ビジネスであると認めること。今後、生活保護を申請する者に同NPOの宿泊所を紹介しないこと。貧困ビジネスと考えられるその他の事業者も利用しないこと。
2.都、そして国と連携し貧困ビジネスを根絶すること。都に対し、無料低額宿泊所の事業者に「宿泊所設置運営指導指針」を遵守させるよう求めること。
3.生活保護の申請者に、居宅保護を原則とする当然の生活保護を適用すること。
4.貴区が手厚い生活保護をかけ、あるいは貴区ご自慢の「ハウジングファースト事業」を勧めるのは、野宿者をそこから追い出したいとき、といっても過言ではありません。生活保護もハウジングファースト事業も、追い出しの「道具」としないこと。
5.ただ風雨をしのげれば、空腹を少しでも満たせれば、人間としての尊厳が保たれる!? 貴区がそう考えているとすれば、大きな間違いです。野宿者は野宿を通し、尊厳の意味を問い直している、といえます。もう二度と野宿者を排除しないこと!
2017年11月27日
ノラ
渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合
宮下公園ねる会議

※上記の申し入れに文書で回答するのはもちろん、渋谷区長と直接意見交換させていただくことを求めます。

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