2022年12月10日土曜日

12月8日 ねる会議弁明書(渋谷区に提出)



渋谷区公示第224号にかかわる、ねる会議 弁明書

ねる会議 渋谷区1・18・29

1,ねる会議とは

2017年3月27日早朝、渋谷区は三井不動産とともに、渋谷区立宮下公園を封鎖しました。それは、本年10月25日に渋谷区が行ったこと同様、公園内に就寝している野宿者がいる中で、事前告知を行わない一方的な追い出しでした。
ねる会議は、2017年宮下公園封鎖の少し前から、宮下公園に夜間就寝している野宿者や、2008年に結成された「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」の参加者などにより、立ち上げられました。
その目的は、渋谷や新宿などにおける、行政や民間による再開発によって、また、地域住民などの無理解によって、追い出しを受けることの多い、野宿者がつながりをつくり自らや仲間の寝場所を守っていくことにあります。

2,ねる会議の荷物が美竹公園に置いた経緯

前述の2017年の宮下公園封鎖の際、同公園から排除された野宿者の一部は、公園課の許可をうけ渋谷区第二仮庁舎スロープ下に、また美竹公園に起居の場を移しました。
また、2018年からは、風雨の避けられる第一仮庁舎(のちに第二美竹分庁舎)の軒下にも夜間就寝する野宿者がいました。
また、美竹公園においてダンボールなどを敷いて就寝する野宿者もいました。
2019年7月には、渋谷区は、第二仮庁舎スロープ下から、荷物とともに野宿者追い出しました。やむをえず、美竹第二分庁舎の北側軒下に移動した野宿者もいました。
ねる会議は、それらの野宿者が利用するための毛布倉庫や荷物保管倉庫を、美竹公園や仮庁舎敷地にそれぞれ設置しました。毛布は野宿者の生命を維持するために必須なものであり、テントや小屋などを持たない野宿者にとって荷物を置くためのスペースは必要なものです。
また、現在は、ねる会議のテントや調理用具なども収納していますが、それらはすべて野宿者の生活のためのものであることは言うまでもありません。

3,公園の意味
都市公園にはさまざま理由で避難をする者たちが尊厳をもって生活を営んできた長い歴史があります。
関東大震災時には、東京市の公園(27園)や広場に避難した者は、東京全市民の約70%の157万人でした。そのことが、東京中に中小公園が建設されるきっかけとなったことはよく知られていることです。
第二次世界大戦後には、都下54公園に5000軒以上の簡易住宅が建てられ、主要な公園に戦災者がバラック集落をつくりました。
95年の神戸淡路大震災時には、公的な避難所に入れなかった、外国籍の方などが公園に避難した例もあります。
2007年末からの年越し派遣村では、一日250名以上の方がテントに緊急避難しました。
そして、野宿者と言われる、わたしたちもまた、とりわけ90年代末から公園を拠り所として、生命をつないできました。
公園には避難民を受けいる包摂性があり、そのような中で、経済的な理由などから避難をする、わたしたち野宿者が存在しています。
都市公園から野宿者を排除することは、公園の意味と価値を損なうものです。
また、再開発の著しい渋谷のような都市において、野宿者の居場所は失われており、主に公園でしか生活できない状態にあります

4,除却命令の不当性

このタイミングで除却命令が出されたのは、渋谷一丁目地区共同開発事業のためです。
渋谷一丁目共同開発事業は、公共地をヒューリックなどの民間開発業者に売り渡し、高い賃料が支払える企業・個人の利便のための施設をつくるものであり、わたしたち貧困者にとっては容認できません。
このような性質の計画に邁進する渋谷区の姿勢が、今回の除却命令にも端的に示されています。
本年10月25日に渋谷区が行った、美竹公園の封鎖と野宿者の追い出し、そして荷物の除却の強要は、甚だしい人権侵害でした。仮に除却命令などの法的な衣を被せたとしても、渋谷区の行いは本質的に変わらない、野宿者への軽視・敵視です。
昨日、12月7日渋谷区本会議で、美竹公園の仮囲いの追加設置するための補正予算約7900万円が、すでに採択されています。
渋谷区は、わたしたちの弁明を聞くつもりもなく、また、話し合いを行うつもりもなく、3メートルの鋼板と大量の警備員によって、わたしたちの荷物の除却と野宿者の排除を実現しようとしています。

除却命令は、このような一方的で暴力的な強制排除を進めるためのものであり、極めて不当です。わたしたちの要求は、11月20日渋谷区長などに提出した「緊急要望書」によって明らかにしています。

それは、美竹公園テント住人の現在の生活が維持できる代替地です。

わたしたちの了解しうる代替地を渋谷区などが提示すれば、わたしたちは移転するのであり除却命令の必要はありません。補正予算も必要ありません。
渋谷区は2010年1月、宮下公園に住む野宿者に対して、隣接する緑道部分に公園課自らが小屋を作り、移転を促しました。
東京都は、2016年11月、明治公園に住む野宿者に対して、他の都立公園への移転を斡旋しました。
しかし、本年12月1日の公園課との話し合いにおいても、「公園は荷物を置く場所ではない」「代替は福祉施策です」と機械的に繰り返すばかりで、議会に説明するために話し合いという体裁をとっているだけのものであり、渋谷区は、わたしたちと真摯に話し合っていません。
今回の除却命令は、渋谷区などが、自らの采配で可能である代替地の提示をかたくなに行わないという不作為によって生じたものであり、不当です。

前述のように、美竹公園に置かれた、ねる会議の倉庫などの荷物は、野宿者にとって必須または必要なものです。
私たちは、これらの諸点において、除却命令に従うことはできません。
改めて渋谷区に求めます。
渋谷区は暴力そのものである除却命令を取りやめてください。
渋谷区は私たちと真摯に話し合ってください。
渋谷区は代替地を提示してください。

以上

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